第12章 カッコイイって、難しい。 ( 山口 忠 )
「ま~嬉しい。そう見える?」
「違うからっ!叔母さん!お母さんの妹!」
『えっ?···若い!!』
いや、若作りしてるだけだから。
「素直でイイコねぇ~」
城戸さんの言葉に大喜びした叔母さんが、更にオレにベタベタし始める。
「ね?!これから忠とご飯行くんだけど、一緒しない?忠の秘密、イロイロ教えてあげるよ?」
「ちょっと?!」
グイグイと行く叔母さんを窘めていると、城戸さんはオレ達のやり取りを見て笑った。
『お誘いは嬉しいんですけど、私も兄と待ち合わせしてるので・・・だから、山口君の秘密っていうのは、次の機会でもいいですか?』
「アラ残念。じゃ、次の機会があったら是非ご一緒しましょう?」
『はい!・・・じゃ、すみません、私はこれで。山口君もまた明日ね!』
「あ、うん!また明日!」
軽く手を振り歩いて行く姿を、見えなくなるまで見送った。
叔母さんと一緒なのを見られたのは嫌だったけど、でも。
城戸さんの可愛い私服姿を見られたのは、オレって超ラッキー?!
いつもは制服か、部活の時の姿しか見たことないから。
その後はご飯を食べながら叔母さんのウンザリする程の追求にあい、家に帰ったんだけど・・・
「忠~?入っていい?」
部屋をノックされ、ガチャりとドアを開けて叔母さんが入ってくる。
「返事してないのに勝手に入んないでよ」
ベッドから起き上がりながら文句を言えば、叔母さんはケラケラと笑って側に来る。
「いいじゃん別に。それとも?エッチな本でも読んでた?」
「そんなわけないでしょ!月刊バリボーだよ!月刊バリボー!!」
パフっと雑誌を投げると、なんだつまんないのって言いながら机に雑誌を置かれた。
「それよりなに?!」
「そんなに怒らなくてもいいじゃない。ほら、これあげるからご機嫌直しなさいよ」
目の前でピラつかせる紙切れを受け取ると、それは・・・
「遊園地の・・・ペアチケット?カップル専用って、なに?」
表や裏を見ながら言うと、叔母さんがよくぞ聞いてくれた!と妙なポーズで胸を張った。
「旦那が会社で貰ったんだけど、この歳でペアチケットで遊園地行かないからさ?忠にあげるよ。さっきのカワイコちゃんでも誘って行ってきな?」
カワイコちゃんとか、古いよ・・・