第12章 カッコイイって、難しい。 ( 山口 忠 )
「忠~?なに騒いでんの?・・・あらヤダ、鼻血なんか出しちゃって!何を想像して鼻血出してんのよ~、健全な男子高校生てどの時間帯も元気ねぇ」
暑さとかの心配は···してくれないんだね。
「とりあえず、シャワー入る」
「忠~?内緒で一緒に入っちゃう?」
「入るか!!」
「恥ずかしがらなくていいのに!忠がまだ、こ~んな小さい時はよく一緒に入ったじゃ~ん」
「オレのどこを見て小さい時とか言ってんの!ホントにそういうのやめてよね!」
アホな事を言い出す叔母さんに声を荒げながら、荷物と一緒に風呂場までダッシュ。
背後から高々と笑い声をあげる叔母さんが、ちょっと楽しそうなのは・・・気にしないことにする。
洗濯機にカバンから出したものと、脱いだ物を放り込み慣れた手際で洗濯機を濯ぎまでの設定で回す。
・・・コレやっとかないと、お母さん怒るから。
素っ裸の状態で、鼻血の為にティッシュ箱を抱える姿が鏡に映る。
ナニコレ・・・なんかオレ、変態チック・・・
手元には鼻血処理した後の丸めたティッシュがいくつもあって。
何だか・・・あ、いや。
これ以上は考えるのやめよう。
鼻血、止まらなくなる・・・
5分位してようやく鼻血も治まり、暑さと鼻血の為に水に近い温度のシャワーで汗を流す。
と、そこで問題が!
玄関からそのままダッシュしたから、着替え・・・忘れた。
ここにあるのは、タオルのみ。
オレ、もしかして大ピンチ?!
手早く髪を乾かし、腰にタオルを巻き付けて脱衣所のドアをそうっと開ける。
リビングからテレビの音がする。
よし、今なら・・・行ける!
風呂場に来た時と同じ位のスピードでオレの部屋に続く階段を駆け上がる。
ここまで来れば万事オッケー!!
階段を上りきり、はぁぁぁ・・・と息を吐いて緊張を解いた・・・のがいけなかった!
「忠~、そんな格好で何ウロウロしてんのよ」
「ぎゃっ!!お、叔母さん?!なんでいるの?!リビングでテレビ見てたんじゃないの?!」
思わずのけ反りながら叫ぶと、叔母さんは出掛ける前に洗濯物入れて来たんだと言う。
「それより忠、アンタ風邪ひくわよ?」
「えっ?」
叔母さんの視線を辿ると、オレの足元には巻いていたはずの・・・タ、オル?
「わぁぁぁ!!」
叫びながらタオルで押さえて隠す。