第12章 カッコイイって、難しい。 ( 山口 忠 )
『え?私でいいの?』
もちろん!
そう答える代わりに、オレは大きく頷いた。
「だから、もし良かったらさ!一緒に・・・」
事の発端は、こないだウチのお母さんに愚痴りに来たお母さんの妹・・・まぁ、いわゆる叔母さんから貰った遊園地のフリーパスのペアチケットだけど・・・
「ただいまぁ・・・」
土曜日の練習は朝から1日だから、もうヘトヘト・・・とまでは言わないけど、それなりに体力消耗してる。
・・・のに。
オレの目には、ウチの玄関には・・・イヤな予感がする女の人の靴。
そしてオレの声を聞いて、リビングからバタバタと聞こえてくる・・・足音!
「お帰り~!会いたかったよ~忠!」
・・・・・・やっぱり。
「おっ、お邪魔しましたァ!」
飛びついて抱き着かれるのを回避しようと、慌ててオレは玄関を出ようと背を向けた。
「あ!こら待てっ、忠!!・・・へっへ~ん、捕まえたぁ~!」
「ちょっと叔母さん!離してよ!」
「忠?叔母さんじゃなくて・・・お姉さん、でしょ?」
「・・・お・・・お姉さん、早くオレから離れて下さい」
「う~ん、上出来!忠、シャワー入っておいで。ご飯食べに行こう?」
「えっ?お母さんは?」
「姉さんだったら、義兄さんとラブラブデートに行かせたよ。忠のご飯がとか言ってたから、私がいるしなんか食べに連れてくって言ったら、あらそう?悪いわねぇ~ってお洒落して出掛けたよ」
毎回・・・このパターン。
だいたい叔母さんが何か愚痴りに来て、スッキリするとうちの両親をデートに追い出し・・・オレをやたらと構う・・・
ご飯連れてってくれるのは嬉しいんだけどさ?
でも、実はオレ・・・この叔母さんが昔からちょっと苦手、なんだよね。
何が苦手かって・・・
それはもう、外出先でオレをまるで彼氏のように扱うところとか。
前回来た時なんて、ファミレスでア~ン・・・とかされたり、させられたり・・・
その前に来た時なんて、洋服選ぶの付き合わされて、胸元のバーンって開いた服を試着したヤツ見せられて。
あ、なんかヤバイ。
思い出したら鼻血出そう。
鼻血・・・そう言えば前に部活で鼻血出た時は、城戸さんの胸に頭抱えられた時だったよね。
熱くなる顔を押さえると、既にポタリと垂れるものが・・・
「わあっ!鼻血がぁ!!」