第11章 ハートの秘密 ( 城戸 桜太 )
「ハート・・・」
慧「紡め・・・このケチャップはどうすりゃいいんだっての」
「大きなハートだな・・・」
慧「・・・桜太、なんかいろいろ緩みきってるぞ」
「うるさいなぁ、慧太も描いてもらえば良かったのに、ハート」
なんだか、食べるのがもったいない。
慧「つうかよ、今更だけど紡の作る飯・・・オムライス率高くねぇか?」
「あぁ、それはさ・・・・・・ま、いいじゃん?美味しいんだからさ?」
紡がオムライスを作る確率が高いのは・・・きっと・・・
初めて梓と一緒に作ったのが、オムライスだったからだよ。
まだ俺達が高校生の頃に、梓と紡が一緒にオムライスを作ってくれて、梓が紡を褒めた。
初めて作ったから卵は破れていたし、チキンライスも水分多めで味も濃くてベチャベチャだったけど。
それでも梓は褒めちぎった。
何回も練習したら、もっと上手になれるよ!って微笑みながら。
紡が寝てから、梓に褒め過ぎも良くないんじゃないか?って言ったけど。
梓「これだから男子は・・・あのね、あんな小さい妹が一生懸命に作ったんだよ?失敗したって当たり前!大事なのは、これからもキッチンに立とうって思う気持ちなの!それに桜太だって紡ちゃんの作ったご飯、これからも食べたいでしょ?」
「それは・・・そうだけど」
梓「褒めて褒めて伸ばす!もちろんダメな事はダメって教えてあげなきゃいけないけど、でも・・・女の子ってね、大好きな人から美味しいって言われると、凄く胸の奥が暖かくなるんだから」
そう力説する梓が凄く可愛くて、俺は思わず梓に口付けた。
梓「急に・・・ビックリするじゃない・・・」
「美味しい」
梓「ばっ、バカ!意味が違うでしょ!」
顔を真っ赤にして言う梓が可愛くて可愛くて、何度もキスをしていたら・・・不意打ちキス禁止令出されたりしたんだよな・・・
その梓も・・・今はもう・・・
「梓・・・」
慧「梓ちゃん?どうした桜太・・・あ、いや・・・何でもねぇわ」
「慧太のクセに気なんか使わなくていいから」