第10章 未知との・・・遭遇? ( 山口 忠 )
菅「山口、立てるか?」
菅原さんからも手を差し出され、オレは2人の手を借りて立ち上がった。
並んで歩きながら、2人の話を聞いて驚いた。
城戸さんがトイレから出ようとしたら鍵が開かなくなって暫く出られず、仕方なく影山が女子トイレに入り、鍵を壊してやっと出られた事。
オレはオレで急に何か呟きながら、菅原さんが止めるのも聞かずに1人で校舎内に入って行った事。
それで城戸さんだけ肝試しやらないのは気が引けるってなって、菅原さんとオレを探しながら校舎内を探索してた事。
「オレ・・・最初から、1人で・・・」
『ホント、びっくりしたんだから。菅原先輩と、山口君いないねって言ってたら・・・あんな叫び声が聞こえるんだもん』
菅「そうそう!オレもビックリしたよ。でもまぁ、それに驚いた紡ちゃんが抱き着いてきて、ちょっとオレ得だったけど?」
・・・・・・・・・・・・。
オレは、マジで怖かったんですけど!
菅「うっし!この扉を出たらゴールだぞ」
ガチャリと扉を開け菅原さんと城戸が続けて外に出て、オレもその後に続いた。
ー サヨナラ、山口君・・・ありがとう・・・ ー
小さな声が聞こえ振り返って見ても、中は真っ暗で何も見えなかった。
「えっと・・・ばいばい」
オレは小声で言って、静かに扉を閉めた。
澤「あぁ、あの鏡か?確かこの夏休みの間に取り外されるって聞いたぞ?」
合宿所に戻りながら一部始終をみんなに話すと、澤村さんがそう言った。
「取り外す?」
澤「何でも、ヒビが入ってるままで危ないし、なんて言うか、いわくつき?らしいから」
いわくつき?じゃないですよ、澤村さん・・・
旭「だ、大地・・・いわくつきってのは・・・」
清「それ、聞いたことある。昔、烏野高校が出来たばかりの頃、不慮の事故が起きて、あの鏡の前で女子生徒が亡くなったって」
菅「うわっ、それガチっぽいじゃん」
清「綺麗な長い黒髪が自慢だった女の子が、その鏡でいつも髪を梳かしてたって。で、階段降りる時に足を滑らせて落ちて、鏡の額の縁で頭をぶつけてそのまま・・・って。だからあの鏡、階段側の下の角がヒビ割れているんだとか」
清水先輩、淡々と話す内容じゃないですよね・・・
それに、綺麗な・・・長い黒髪って。
さっきの人じゃん!!