第10章 未知との・・・遭遇? ( 山口 忠 )
あんなににこやかに笑顔で送り出すヤツじゃないよね?!
っていうかさ!
オレの肝試し、もう肝は試されて結果出てるよね?!
・・・なのに、それでも真っ暗な校舎に入らなきゃいけない、事実。
唯一、勇気付けられるのは、オレの手をしっかりと握っている城戸さんの手。
仕掛けポイントを通過して驚く度に、ギュッと握られて、スタートの時は緩く繋いでいた手も・・・
今はしっかりと離れないように、繋がれていた。
「ねぇ、もしかして寒い?手が、冷たくない?」
蒸し暑い中を歩いているのに、手の冷たさを疑問に思って城戸さんの顔を覗いた。
『そう、かな?私はいつもこんな感じだから。でも、山口君の手は思った通り暖かいね』
思った通り?
オレ、お子様体温だとか思われてたのかな?
『あと少しで、終わっちゃうね・・・』
「え?あぁ、そうだね!」
オレは凄い怖かったけど、城戸さんと2人っきりだったから、それは・・・それで良し、的な?
だって、いつもはこんな風に手を繋いだりとか出来ないからね!
『私、もっともっと山口君と一緒にいたいな・・・』
「えっ?!・・・ほ、ホントに?」
思わず足を止め、城戸さんを見た。
『本当。ずっと、一緒にいられたらいいのにって、思ってる・・・ダメかな?』
・・・マジで?
ダ、ダメなわけ・・・ない、けど。
城戸さんて、こんな積極的だった?!
今だって、繋いだ手を解いて腕を絡ませて来るし。
オレ、こんな城戸さん見た事ないよ?
・・・も、もしかして。
城戸さん、オレの事・・・す、好き?とか?
だとしたら、えっと、なんだっけ。
こ、こういう場合は・・・その・・・。
男のオレがしっかりしないと!だよね!!
肺が弾けるくらいの勢いで思いっきり深呼吸をした。
「あのさ!!こ、この肝試しが終わったら聞いて欲しい話があるんだ!」
・・・言った!!
『これが・・・終わったら?今じゃ、ダメなの?』
城戸さんの言葉に、オレは大きく頷いた。
「全部、終わってから聞いて欲しい」
『・・・そっか』
あれ?
なんで悲しそうな顔をするの?
オレ変なこと言った?
「と、とにかくさ、とりあえずはここを出てから話すから。だから、行こう!」