第10章 未知との・・・遭遇? ( 山口 忠 )
清「・・・山口。私、一番最初に月島と回って来たんだけど」
え?
淡々と話す清水先輩の声がすぐ隣から聞こえて顔を向けると、隣にいたのは城戸さんではなく・・・
「えぇっーーーーー?!清水先輩?!」
清「もう1回、山口と回った方がいい?」
オレがしっかり握っている手を軽く掲げて清水先輩が表情を変えずにオレに聞いてくる。
「い、いえ・・・大丈夫、です・・・すみませんでした」
握っていた手を離し、ヘタレ過ぎる自分を呪ってしゃがみ込んだ。
なにオレ・・・始まる前からこんなんじゃダメだろ。
普段からずっと見てる城戸さんの小さな手と間違えるとか・・・アホ過ぎる!!
『山口君、大丈夫?』
目の前にちょこんとしゃがみ、城戸さんがオレに声をかける。
『もうさ、怖いけど・・・覚悟決めたから。ダッシュで行って、ダッシュで戻って来よう・・・?』
「アレ?さっきと違って城戸さん冷静・・・?」
オレが言うと、城戸さんは苦笑を向けた。
『何か・・・山口君見てたら妙に落ち着いちゃった・・・』
・・・・・・・・・。
オレ、どうしたらいい?!
まだ怖いんだけど!!!
だけど。
そんなの・・・言えない。
山「が、頑張ろう、ね!」
ガタツク足を奮い立たせ、立ち上がった・・・んだけど。
城戸さんは校舎入る前にトイレ行ってくるって言って、影山をお供に歩いて行った。
『お待たせ~。さ、行きましょ?』
あ・・・れ?
「城戸さん、影山は?」
1人で暗闇歩くの怖いから影山と行ったのに、1人で戻って来た?
『あぁ、影山は自販機寄るって途中で別れたの。ね?早く行こ?』
あのあからさまに城戸さんの事を好き好きオーラ漏れてる、影山が?
本人気がついてないけどさ。
普段だったら、そんな事しない・・・よね?
って事は、よっぽど喉乾いてた、とか?
『ねぇ、それより早く中に入ろう?』
そうだね、と返してオレ達は改めてスタートラインに立った。
菅「はい、ハンドライトね。じゃ、ラストの山口・紡ちゃんペア、行ってらっしゃい!」
まるでアトラクションのスタッフのように笑顔で送り出す菅原さんを横目に、オレ達は前に進み出した。
これって肝試しだよね?!