第10章 未知との・・・遭遇? ( 山口 忠 )
『ねぇ、ホントにやるのかな・・・っていうか、やるんだよね・・・コレ』
隣に立つ城戸さんが、カタカタと音がする程に震えながらオレに聞いてくる。
「やるんだよね・・・って。やらないとオレ達だけ、ペナルティ多くなるよ?」
『それはそうだけどさ、私、これやらなくていいならペナルティの100本サーブでもいい・・・』
「いや、それはオレもだけどさ・・・」
元々まだ試合出れてないから、サーブ練習はどれだけ増えてもいい。
でも、せっかくなら。
田中さんと西谷さんの“ 思いつき ”で企画されたこの肝試しを、城戸さんと一緒に参加したい。
でも・・・オレだって怖いモンは怖いよ!!
だってオバケだよ?!
オバケって、1回人生のエンディングを迎えた人がなるやつだよ?!
何かいろいろ、思い残してたり、恨んでたりしてる人がなるやつだよ?!
恨んで・・・?
こ、ここ、怖いに決まってんじゃん!!
だけど・・・
みんなで公平にくじ引きをして城戸さんとペアになった以上・・・怖いとかヘタレな事・・・言ってる場合じゃない!
ここは、普段のオレのイメージを覆すチャンス・・・だとイイけど。
やっぱり、怖いモノは怖いよ!!
菅「山口・・・お前紡ちゃんより顔色悪いけど・・・大丈夫か?」
「だ、だだだ大丈夫デス・・・」
菅「明らかに大丈夫じゃなさそうだけど!そんなに怖いなら、オレ代わってもいいけど?スタート役とか退屈だし、別にオレ幽霊とか信じてないから怖くないし。それに、山口のペアは紡ちゃんだし?」
怖くないとか、そういう問題じゃ・・・ないんです。
今オレが菅原さんと代わったりしたら、城戸さんに・・・カッコイイところ見せられないじゃないか!!
・・・既に、ちょっとカッコ悪いケド。
菅「本当に大丈夫か?」
念を押すように菅原さんがオレに言うのを、コクコクと頷いて返事をした。
恐怖が蓄積され過ぎて、もう、声さえ出ない・・・
菅「じゃ、スタートするから2人並んで?」
オレは自分の足に力を入れて、キチッと立つ。
膝は・・・ガクガクしそうだけど、が、我慢。
「城戸さん!い、行くよ!」
隣の柔らかな手を握り、真っ暗な校舎に向かって顔をあげる。
よし!
これで大丈夫!