第8章 赤い糸の行き先 (及川 徹)
岩ちゃんは岩ちゃんで女の子に囲まれていて・・・
岩「自業自得だ」
ひと言でバッサリ。
それでも集まって来る女の子達を宥め。
制服のボタンをアチコチ引きちぎられ。
ボロボロになりながらも、それでも天使ちゃんに会いたくて体育館へと向かった。
オレが着いた頃には、既にほとんど片付けも終わっていて、作業をしている生徒や教師もまばらになっていた。
その少ない人数の中にオレの天使ちゃんの姿はなくて・・・もう帰ってしまったのかとガクンと項垂れる。
ー 及川・・・なんか凄いボロボロだなぁ。人気者は辛いな ー
顔を上げれば、ニヤつく顔でオレを見る学年主任がいて。
「先生・・・オレの天使ちゃ・・・1年生の城戸さんは、どこに・・・?」
学年委員会の担当をしていた先生なら、天使ちゃんの事は知ってるはず。
そう思って聞いてみると、意外な答えが返ってきた。
ー 1年の城戸?アイツならさっき、養護の先生に連れられて保健室行ったぞ? ー
みくちゃんセンセーに連れられて保健室?!
「なんで?!ケガとか?!」
ー そこまで知らん。気になるなら行きゃ分かんだろ?はい、ソコ邪魔だからどいてくれ ー
肩を押されて入口から出されてしまう。
保健室・・・
その言葉を頭に浮かべ、オレは保健室へと向かった。
自然と小走りになる足に逆らう事もせず、保健室までの廊下を駆け抜ける。
もしかしたら、これから先・・・ずっとオレの隣にいて貰えるかも知れない。
・・・もしかしたら、今日が最後になるかも知れない。
でも今・・・会いたい!
保健室の前まで来て、そのまま飛び込みたい気持ちを押さえて、上がりかけた息を整えるためにドアの横に寄りかかる。
何度もゆっくりと大きく深呼吸をしながら、息を整えていると、微かに聞こえてくる・・・話し声・・・
「そっかぁ・・・告白は出来なかったか・・・」
『はい・・・』
みくちゃんセンセーと・・・天使ちゃん?
いま、告白・・・とか、聞こえなかった?
落ち着かせるために大きく吸い込んだ息が、止まる。
オレの天使ちゃんが、告白?
・・・誰に?!
ここまで来た時とは違う速さで、心臓がドクドクと早くなる。
次第に苦しくなる、息。
「で、どうするの?」
『これで、いいんだと思います・・・』
「どうしてそう思う?」