第8章 赤い糸の行き先 (及川 徹)
おかけでオレは・・・天使に会えたよ!
「はい、ここが第2音楽室だよ?」
『ありがとうございました!凄く助かりました!』
元気よくお辞儀をしてお礼を言う紡ちゃんに、思わず顔が綻ぶ。
「紡ちゃん?・・・また、会えるといいね?」
そっと頬をひと撫でして、キラッキラの笑顔で言ってみる。
キマッタ・・・!
だいたいの女の子は、これで落ちてくれるんだよね・・・
なのに!
『同じ学校だから、会えると思いますけど?』
キマラナカッター!!
「あ、そ、そうだよね!アハハ・・・じゃあ、オレも教室行くね・・・」
敵は手強い・・・
じゃあね~と手を振ってから、教室へと戻ると、そこには鬼がいた・・・
岩「おいグズ川・・・どこで油売ってやがったんだ?」
い、岩ちゃん?!
オレ今、岩ちゃんの背後に業火が見えるよ?!
「い、岩ちゃんあのね!オレ今、すっごいカワイイ天使に会ったんだよ!」
岩「・・・天使?」
あ、業火が消えた?!
「そう!天使!!・・・また会いたいなぁ・・・」
岩「へぇ・・・じゃあ今から俺がすぐ会わせてやるよ・・・」
「わぁっ!!ちょっと岩ちゃん?!ゲンコツ振り上げるのヤメテ~!!」
オレの願いも虚しく、岩ちゃんからの一撃をお見舞いされたのに・・・天使ちゃんには会えなかった。
だけど、その再会は、意外と早く訪れた。
その日の放課後、バレー部の練習の為に体育館にいると、委員会で遅れて来た国見ちゃんと一緒に天使ちゃんが歩いて来た。
マジ?!
早くもオレの練習姿を見に来ちゃったとか?!
国「サーセン、遅れました」
岩「早くアップして練習に入れ。委員会の遅刻は認められてるから気にすんな」
『あっ!及川先輩こんにちは~!朝はありがとうございました!じゃ、国見ちゃん練習頑張ってね!影山も!』
えっ?!影山?!
影「おぅ、お前もな」
お前もな?!
『終わり同じだったら、一緒に帰る?』
一緒に帰る?!
影「あぁ、じゃ先に終わったら待っててやる」
『ホント?!じゃあ私が早かったら待ってるね!』
なになに?!
どういうこと?!
岩「おい。なにをハニワみたいな顔してやがる」
「岩ちゃん、ハニワとか酷い」
岩「お前、仮にも部長なんだからしっかりしろよ!」
「仮じゃなくても部長だから!」