第7章 〖 肌の記憶 〗 人気投票3位記念 城戸 慧太
ちょっと待っててと言いながら、桜太は誰かに電話をかけ始めた。
桜「あ、梓?俺だけど・・・今どこにいる?よかった、まだ近くにいたんだね。うん、ちょっと梓に頼みたい事があって・・・そう、紡の・・・ありがとう、助かるよ。そこまで迎えに・・・分かった。あぁ、場所は・・・」
・・・梓ちゃんだと?
桜太のやつ、よりにもよって強烈なの呼び出しやがったな・・・
苦い顔でいると、電話を終えた桜太が振り返った。
桜「梓が来てくれるって」
「聞こえてたっつーの」
桜「梓もちょうど、紡のプレゼントリサーチしてたんだって」
「はいはい、そうですか」
オレはこれからやってくる、お節介なヤツを想像して、少しウンザリ顔で答えた。
桜「慧太?分かってると思うけど、梓がうるさく言うのは慧太が、」
「あ~ハイハイ、分かってるってぇの!」
桜太の彼女のアイツは、顔を合わす度にオレに小言を言いやがって。
生活態度がどーの、責任取れる行動をしろだの・・・
顔は可愛いし、スタイルもいいし、嫌いなタイプじゃねえけど、めんどくせぇ。
オレには合わないタイプだ。
オレは自由人慧太サマ、だからな。
「桜太!ゴメンね、待たせちゃって!」
長い髪を風に遊ばせながら、待ち人がやってくる。
桜「そんなに待ってないから、大丈夫だよ」
いーや、オレは存分に待たされたと思うけどな。
桜太が電話を切ってから、20分だそ?
オレ1人だったら帰ってるっつーの。
だいたい駅前にいたのに、なんでここまで来るのに時間かかるんだよ。
「ホントに?だって少し遅くなっちゃったから・・・」
桜「大丈夫だって。梓を待ってる時間だって、俺は楽しいんだから」
・・・・・・痒いな。
「おいそこのリア充、いい加減にしろや。聞かされてるコッチは痒くて仕方ねぇ。サッサと行こうぜ」
ひと足先に、オレは歩き出した。
「なんか慧太君、ゴキゲンナナメ?私のせい?」
桜「いつものことだよ」
「お前ら、聞こえてるってーの!」
ごめーんとか言いながら、梓ちゃんが腕に絡んで来る。
「絡むな!歩きにくいだろ!チビ助」
「あーっ!また慧太君チビ助って言った!」
「うっせーチビ助!」