第6章 王様ゲーム (2017.8.19 特別番外編)
食べた一口分をモグモグとしながら、月島君を見れば・・・
不機嫌な顔を見せながら私を凝視している。
『な、なに?かな?』
月「ポッキー、まだ残ってるケド?」
『いやいやいやいやいや・・・私ちゃんと食べたよ!』
月「・・・早く。僕いま客なんだけど」
『でも!』
口に咥えていたポッキーを置き、月島君が新しい物を口にする。
月「やり直し」
は、ぁっ?!
・・・こうなったら、覚悟を決めてやる。
『・・・お客様は、わがままですねぇ。もう、これが最後ですよ?』
月「最初からそうすればいいのに」
言いたいことは山のようにあるけど、そこはグッと堪えて・・・頑張って半分の距離まで食べていく。
ここまで頑張れば、もういいよね?と、チラリと月島君を見る。
月「あ、ゴメンゴメン。これ邪魔だった?」
ポッキーを咥えたまま、月島君がメガネを外した。
ちっ、違うよ!!
もう終わりでしょ!!って言おうとして、顔を離そうとすると、月島君に頭をロックされる。
月「ねぇ、早く食べなよ。こっちから食べないでいるのは僕の優しさなんだケド?それとも、僕も食べた方がいい?」
月島君の言葉にブンブンと頭を揺らし、抵抗する。
月「じゃあ、早く」
薄らと涙を浮かべながら、さっきよりもゆっくりのペースでポッキーを食べる。
段々と距離が短くなり、もうあと残すところは2センチ・・・といったところで、ギブアップしようと月島君の目を見た時。
ロックされていた頭を引き寄せながら、月島君が最後の2センチをパクリと食べた・・・
それは一瞬の出来事で、思考が追いついていかない。
ただ、分かることは・・・
月島君の唇の感触が、やけにリアルなのと・・・
月島君のまつ毛って意外と長いなぁ、とか。
鼻高いし、肌・・・キレイ・・・とか・・・
じゃあなくて!?!?!
ほんの数秒の間、そんな事を考えていてハッとして思い切り体を離す。
『あ・・・つ、月・・・え・・・ええっっっっっ?!』
咄嗟に周りを見回すと、みんなビックリして固まってるし!
武田先生も顔を赤くしながら固まってるし!
赤くなりたいのも固まりたいのも、全部わたしだから!!!
声にならない言葉で口をぱくぱくさせながら、それでも月島を見続けていると、スッとメガネをかけてニヒルに笑う。
『つ、月島君?!今のって!!』