第6章 王様ゲーム (2017.8.19 特別番外編)
違う!
山口君それ使い方違うから!
月「なんか顔が赤くない?暑い?・・・あぁそっか、こんなにきっちり服着てるからだね?」
スッと手を伸ばして、武田先生が締めてくれたネクタイをスルリと緩め、更に上から2つ分のボタンを外される。
『月島君?!な、何してるのっ?!』
月「何って・・・どうせ後で全部脱ぐんだから、別にいいデショ」
ぜっ・・・全部?!
ゴボッ!!と音がして、大地さんが飲み物を吹いた。
澤「月島!それはやり過ぎだろ!」
むせながらも大地さんが止めに入り、自分が着ていたジャージを私にかけてくれる。
月「やり過ぎ?このゲームが終わったら着替えるんだから関係ないでしょ」
あ・・・そっち?!
いやいやいや、そうじゃなくって!!
目を白黒させていると、さてと続き続き・・・と言って月島君が大地さんを追い払ってしまった。
月「あはは、楽しいなぁ・・・」
いや、全然楽しそうには見えませんけど!!
月「あ、そうだ。ねぇ、新人さんの紡?僕にアレ、食べさせてよ」
チラリとお菓子のお皿を見て、次に私の顔を見る。
『分かりました。コレでいいですか?』
とりあえず目に付いたお菓子を1つ取り、緊張のあまりプルプルと震える指で口元へと運ぶ。
月「・・・ポッキー?へぇ、なかなかのチョイスだね。もしかして、僕を誘ってんの?」
『・・・はぃ?』
言ってる意味が分からなくて、首を傾げてみる。
月「こっち側から紡が食べて」
そう言ってポッキーを軽く咥えながら、月島君がニヤリと薄く笑う。
『反対側から、って・・・えぇっ?!ウソでしょ?!』
周りに助けを求めようとしても、既に月島君の空気に飲まれているのか、みんながみんな興味津々になっている。
月「ちょっと、早くしないとチョコ溶けるデショ?」
で、デショ?って言われても!
で、でもこれは王様ゲーム・・・
これさえ乗り越えてしまえば、終わる!
ニヤニヤしながら傍観する田中先輩に軽く怒りを覚えながら、私は腹を決めた。
『じ・・・』
月「じ?」
『じゃあ、お言葉にあま、甘えて・・・』
ゆっくりと近付いて、パクリ・・・と1口食べた。
「「 おおっ!!! 」」
・・・なんで武田先生まで歓声をあげるんですか!!
唯一の大人なんだから止めてくれてもいいのに!