第5章 〖 繋いだ指先の行方 〗 人気投票2位記念 岩泉 一
カッコイイ大人になって、いつか守らなきゃいけない人が出来たら。
命をかけて守る!!って。
だって・・・スーパーヒーローって、そういう事が出来るって事だし。
そんな事を考えていたら、俺と及川の母ちゃんが迎えに来て。
・・・約束してくれた通り、おぅちゃんとけぃちゃんが怒られないように事情を説明してくれて。
それから警察にも、みんな子供だからこの事に関わった事は秘密にしてくれるようにお願いもしてくれた。
母ちゃん達からすれば、おぅちゃんもけぃちゃんも子供のはずなのに。
俺の母ちゃんも、及川の母ちゃんも・・・2人ともおぅちゃん達に目がハートになってて。
イケメンねぇ、とか?
この仕上がりは、きっと素材もピカイチなのね~、とか?
お父さんと出会う前に会いたかったわぁ、とか?
そんな話で盛り上がってた。
・・・大人の女って、ホントは守らなくても強いんじゃねぇ?とか俺は思ったけど。
け「オラ、お前もちゃんとありがとう言えよ」
それまで、けぃちゃんに抱っこされてたチビ子が、モジモジしながら俺達の前に来た。
『はっくん、ありがとう』
助けるのは当たり前だ!って言おうと顔を向けた時。
お「あーっ!!つーちゃん?!?!」
おぅちゃんの叫びと同時に、チビ子の小さな口が・・・俺の、口に・・・くっついた。
「お、おまっ、お前!いまっ?!」
『おとなになったら、はっくんのおよめさんにしてね?』
ニコニコと笑いながら、チビ子はそう言った。
及「岩ちゃんズルイー!ねっ?つーちゃんちゃんオレもオレもー!」
『じゃあ、とーるくんはほっぺにチューね?』
お「つーちゃん?!」
け「お前、慌て過ぎだろ。子供のすることなんだから、多めに見とけや」
ガックリとするおぅちゃんを見て、なんかよく分かんねぇけど、俺はチビ子を引っ張って止めさせた。
及「岩ちゃん?!なんで?!」
ふてくされながら及川が俺を見た。
「チビ子は・・・俺のお嫁さんになるんだってよ!だから、及川にはやらねぇ」
及「なんでぇぇぇ!!」
チビ子を背中に隠して言えば、母ちゃん達もアラアラ~って笑っていた。
その日からも、俺達はいつも3人で公園で遊んでいたけど・・・
「引っ越すのか?!」
突然泣きながらチビ子が話した事に、俺も及川も驚いた。
及「なんで急に?」