第1章 〖 恋よりも、愛よりも 〗人気投票1位記念 城戸 桜太
慧「桜太の中のオレのイメージって酷いなぁ」
「それは慧太の今までの事を考えたら自業自得だろ?」
慧「で?どうする?オレが飯作るのは簡単だけどよ。さすがに同い年の同じ顔に・・・オムライスにケチャップでハートマークとか書けねぇぜ?」
ケチャップでハートマーク・・・
そんな物が書いてあったのか・・・
それを慧太が、俺に?
・・・・・・・・・う~ん。
「様子を見てくるよ・・・」
脳裏に浮かんだゲンナリするような事をかき消して、俺はリビングを出た。
紡が慧太に言ったのは、梓の残り香の事だろう。
俺は気が付かなったけどなぁ。
その辺、女の子は香りに敏感っていう事なのか。
階段を上がり、紡の部屋をノックする。
「紡?」
・・・返事もなし、か。
やれやれ、随分とご機嫌を損ねてしまったようだな。
さて・・・どうするかな?
もう1度、紡の部屋をノックしてみる。
「紡?起きてるんでしょ?」
『・・・もう寝てるッ!』
・・・いや、起きてるじゃないか。
「機嫌直してご飯作ってくれないかなぁ?」
『嫌っ!桜太にぃなんか女の人とイチャイチャして、エッチな事して、そのまま死んじゃえ!!』
「紡?!俺はそんな事してないから!絶対に!・・・だからもう、機嫌直してくれないかな?」
1度機嫌を損ねると、拗ねて拗ねて・・・
慧「桜太・・・浮気がバレた旦那の言い訳かよ、今のは」
ハッと振り返ると、いつの間にか後ろに来ていた慧太が肩を震わせていた。
「いるんならいるって、教えとけって」
慧「いましたよ?さっきから・・・プッ・・・クククッ」
「遅いから!」
腕を組み、ドアにもたれ掛かる。
「どうしたもんかなぁ・・・ほんとにそんな事してないんだけどなぁ」
言葉と一緒にため息が漏れる。
慧「ま、アレだな。紡からしたら、大好きな桜太から香水やら化粧品やらの匂いがしたら、ヤキモチ焼くんだろ?」
「そんなもん?」
慧「そんで?梓ちゃんとはホントに何もなかったのか?」
慧太の問いかけに、ないよ、と返す。
「ただ・・・まぁ、これは後で慧太には話すよ・・・」
誰かに話す事で、気持ちが落ち着く事も・・・あるから。
慧太は何となく気付いてるし。