第1章 向日葵と薔薇
引っ越してから半年。流石にもう慣れてきた。此処にも、仕事にも。でも、1つだけどうしても慣れないものがあった。
仕事帰り、もう夜なので音をたてないように階段をあがり、鍵を開けようと鞄をあさると、
ガチャッ
隣の中也さんがドアを開けた。
「こんばんは。これから仕事ですか?」
中也さんの格好は普段着にしては固いし、高級そうだ。
「あぁ。菜那か。そう。これから仕事。其方は仕事帰りか?」
いや、どう考えてもそうだろ。
「あー、はい」
「早めに寝ろよ?どうせ明日も早いンだろうし」
何で私が家出る時間知ってンだよ。その時間居ねぇだろアンタ。ま、いっか。
「有り難うございます。お休みなさい」
「お休み」
此だ。たまに中也さんがフラッフラで帰ってくるから懐抱してたら親しくなって、名前呼びになったまではは別に普通だ。でも、彼の人と話していると胸がしまる。
・・・病気かなぁ。