第8章 #5~Beware of white crane!
「主様!鳴狐お手製のお稲荷さんはいかがでしょうか?お口に合うとよろしいのですが」
皿の上に綺麗にピラミッド状に積まれたものすごい数のお稲荷さんを運んできた鳴狐。
「……良かったら」
しゃ、喋った…!初めて肉声聞いたぞ!?
恥ずかしそうに俯きながらだったけど、しかと聞いたよ…君の声…!
「お稲荷さん大好きだから頂きます!」
ひとつ摘んで口に放り込むと甘い油揚げに染みた出汁がジュワッと口の中いっぱいに広がる。中のご飯も絶妙な量でこれ何個でもいけるやつ…!
「んー!!美味しい!鳴狐、お料理上手!」
「…お稲荷さん…だけ…」
「おっ、美味そうじゃのう!わしもひとつ…」
スッと横から手が伸びてきたなと思えば大きな口を開けお稲荷さんを三つほど一度に放り込んだ陸奥守さん、大丈夫かなと観察していたら案の定口に入れすぎたようでモゴモゴ苦しそうだった。
「わ、わ、大変、誰か飲み物!」
傍にいた秋田くんがお茶を陸奥守さんに渡す。
ナイス、と無言で親指をグッと立て合図するとこれまた恥ずかしそうに照れながら笑ってくれた。
あぁ、短刀達と一生暮らして行きたい…!
「っかーーー!死ぬとこじゃった!すまんのう、助かったぜよ、秋田」
「いえ、礼には及びません」
「…慌てなくても、たくさん…あるから」
「こんのすけも頂戴してよろしいですか!?」
ちょっと本部へ戻りますって言って執務室から消えたこんのすけがいつの間にか戻って来ていた。
お稲荷さんの良い匂いに釣られたのか…
「主様!明日からの予定なんですが…」
せっかくの歓迎会なのに仕事の話をされる…
社畜確定かな、これは…
まあ、短刀達が自動的に癒してくれるし、あのクソ上司もいなくなるからまだ楽なのかなー…
「どうした、あんた」
仕事の話を離れて聞いていたあと、その場で考え込んでいたところ、山姥切くんが話しかけてきた。
「あ、あー、ちょっとね、仕事の話で」
「…無理はするな」
ん?んんん?今なんと?
山姥切くんが…優しい!!!
なんだろう、ぶっきらぼうなイメージがあったんだけど…気遣い出来る優しい男の子なんじゃん…!
「ありがとう、優しいね」
「っ…!別に俺は…」
布でよく見えなかったけど顔が真っ赤なのはよく分かった。