第8章 #5~Beware of white crane!
執務室で残りの業務を片付け、ドタバタで化粧を直す暇も無かったのでドレッサーの鏡とにらめっこ。
「よし、出来た」
「大将、準備はいいか?」
「うん、バッチ……リ…」
振り返った先の薬研くんは白衣を脱いで黒シャツにネクタイの出で立ち。
あぁ、ダメ、その格好はわたしクラクラします…
「どうした大将、俺っちに何かついてるか?」
「い、いや…大丈夫…」
直視できない。動揺を隠しきれん…
「たーいしょ、具合でも悪いのか?」
なかなか動かないので心配になったのか、わたしの傍で顔を覗き込む薬研くん。
ち、ち、近いんですけど…!
「何でもないのよ何でもっ!大丈夫!」
鶴丸の旦那と会ってからの大将はどうもおかしい。
よそよそしいと言うか、なんと言うか。
昼飯の頃打ち解け始めたと思ったんだが…
「さ、広間に行こっ?ね?」
「大将が何でもねえって言うなら信じるけど…」
ギュッと手が握られた。
朝の挨拶以来だ。
「薬研くん?」
「俺は大将の近侍だ」
「だから、これから先困ってる事とか、悩んでる事があったら話してくれ、力になりたい」
「…近侍じゃない時でも俺を頼って欲しい」
う
うわーーーーーーーーーーーーー!!!!!
なに、なに、今の状況…!
幸せ過ぎてちょっと死にそうですよ…
薬研くんを近侍にしてたのは可愛いなあ、って思ってたからなんだけど間違って無かった…!
こんなに、こんなにわたしの事信頼してくれてたのか…!
「ぅっ、うぅ…」
「大将!?」
ごめん、ちょっと涙が堪えられなかった。
「大将、俺なんか変な事言ったか?」
「ううん、違うの、薬研くんがわたしを信頼してくれてる事がすごく嬉しくて…ごめんね、泣いちゃった」
「…ありがとう、薬研くん」
「…礼を言うのは俺っちの方だ」
優しく笑って指で涙を拭ってくれる薬研くんがものすごくカッコよく見えてドキドキした。
「みんなが待ってる、行こうぜ、大将」
「…うん!」
「………」
二人で広間の襖を開けると
手厚い(?)歓迎をされてしまった。
「おっそーーーーーい!もうアタシ達始めちゃってるもんねーーー」
既に酒臭い次郎太刀姐さん…
絡まない、と太郎太刀さんに連れ戻される。
「さあ、主、こちらへ、この長谷部g」
「主来た来たー!こっちだよー」
