第6章 #3~Greeting to everyone
「よし、こんなもんかな…」
メイクブラシを片付け、鏡を覗き込んで最終確認。
まじまじと見られながらするメイクは落ち着かなかった。
アイラインよれなくて良かったよ…手が震えてたわ。
「ほう、変わるもんだな」
壁にもたれかかりながらずっと見ていた薬研が同じように鏡を覗き込んで来る。
この子は…パーソナルスペースって言葉を教えた方が良いかしら…いちいち近いのよあなた…
「主、綺麗だよ、俺もデコって欲しいなぁ?」
「はいはい、後でね」
隙あらば抱きつこうとする加州くんの首根っこを掴み阻止する安定くん。
「何すんのさ安定ぁ!」
「主はこれからみんなと顔合わせしなきゃいけないんだから、困らせるようなことしない」
「ちぇー、分かったよ」
「それでは、向かいましょう!」
3人に先導され、皆が待つ広間へ向かう。
途中。
先程のこんのすけの言葉が引っかかって立ち止まってしまった。
「主様、どうなさいましたか?」
立ち止まった自分に気付いたこんのすけが声をかけてきた。
「あのさ、さっき本丸生活…って言ったよね…」
「はい、申しましたが?」
「…それってさ」
ゴクリ。
思わず唾を飲み込んだ喉が鳴った。
一番恐れている言葉が、飛んでくるんじゃないか。
「わたし、一生ここで暮らすの?」
「そういう訳ではありません!」
ホッとした、のもつかの間。
「ただ、お仕事は審神者になりますが!」
「…は?」
「詳しくはこの後ご説明する運びだったのですが」
こんのすけが簡潔に説明してくれた事をまとめると
〇現職は一身上の都合で退職扱い
〇今日付でここの審神者となり、時間遡行軍と戦うべく、刀剣男士を遣い、本丸を運営して行く
〇お給料は出る
〇クロゼットが本丸の出入口となり、自由に行き来出来る(普段通りの生活は保証されている)
〇両親の承諾は得ている
「おい待て最後」
「ご両親から聞かされていなかったのですか?」
「いや、封書自体見たの昨日だから…」
うっそー…知らなかったのわたしだけなの?
親の事だからあっさり承諾したんだろうなあ…職場は近いに越したことない、とか言いそうだし…
って言うかハナから断れる雰囲気じゃないよねこれ
強制だよね、もし嫌だってなったらどうなってたんだろうか…あんまり考えたくないけど…
