第5章 #2〜Strange common life
綺麗に二人の声が重なった。
ビクッと肩を震わせた大将は恐る恐る二人の方を振り返る。
「あー…着替えを…取りに…ちょっと…」
「えーっ!?可愛い服なのに何で!?」
「そうだよ、どうして着替えちゃうの?」
「着替えるとは…言ってないんだが…そもそも着替えられないし…」
後半ボソボソ声になってだんだん口が3の字になっていく大将がおかしかった。
「主様、皆揃っております、広間に来てください!」
いつの間にか部屋に戻って来ていたこんのすけが大将を呼びに来た。
「え、えー…行くのぉ…?」
「行こうよ、俺が手繋いでてあげるから緊張しないでしょ?」
「清光、お前ズルいぞ」
また二人は言い争いを始めた。
なかなか部屋から出ようとしない大将。
「大将、なんか問題でもあんのか?」
「あっ、その、ね…えっと…」
果たして彼らに伝わるだろうか、今私が絶賛スッピンである事を…すると、加州くんがあっ、と声を出した。
「分かった、主、化粧してないんだ」
「ゴフッ…あっ、えっ、あの………ハイ…」
「俺っちはそのままでもイイけどな」
「薬研、分かってないな、お前は」
流石、加州くん…!乙女(?)の味方…!
「んぁー、でも俺爪紅しか持ってないしなー…」
「その事でしたらご安心ください!」
こんのすけがどこからいつ用意したのか、ドレッサーとメイク道具一式が部屋の隅に置かれていた。
「こちらでお化粧なさってはいかがでしょう?」
「これも、これも…いつも使ってるやつだ…どうして…!?」
「主様には何不自由無い本丸生活を送っていただくために、こちらで用意させて頂きました」
「は、はぁ…」
「なのでご入用の際は何なりとこんのすけにお申し出くださいませ!」
この子、今一番有能なんじゃないか。
「…え?待って?」
今本丸生活って言った?