第5章 #2〜Strange common life
さっきまで無かったはずの大きめの姿見がいつの間にか用意されていてその前に立たされたわたし。
「さぁ主様、その鏡のてっぺんにある紅い宝石とコンパクトの装飾部分を近付けてください!」
「…はあ」
取り敢えず言われた通りにしてみよう。
でも巫女服とか嫌過ぎるんですけど…
しぶしぶコンパクトの装飾を赤い宝石にかざした。
かざした瞬間、強い光が鏡から放たれる。
「うわっまぶしっ」
短時間で何回自分は眩しさにやられるんだ…
「主様、目を開けてください」
こんのすけに促され、ゆっくり目を開けた。
「んんんんんんおおおお?」
変な声が出てしまった。
「どうですか?主様!」
「もっとこう…コスプレ感強めの巫女服なのかなぁー…っと思ったけど色味が落ち着いてるし露出度も高くなくてこれはこれでアリ……」
しばしの沈黙。
「…な訳ねえだろおおおおおおお」
今すぐ!今すぐわたしの部屋着を返して!!!まだあっちの方がマシ!!!
と言葉を発していたつもりだったのだけどモ〇ハンの様な地団駄を踏みながら歯を食いしばっていただけで音声には乗っていなかった。
「あ、主様落ち着いて下さいぃ!」
「俺っちは良いと思うぜ、大将」
背後からひょこっと顔を覗かせ鏡越しにわたしを見る薬研。
鏡越しに目が合う。
ドキッとしてしまった自分がものすごく悔しい。
「こんのすけ、畏まった場って何回もあったりするの?」
「今のところ決まっているのは就任の儀だけです!」
…あるのか、やっぱり
「それはいつ?」
「本日です!」
う、うわー…これ着とけって言われるパターン
「なのでそれが終わるまでは着替えないでくださいね!」
うん!知ってた!!!
この後現れるであろう刀剣男士達にコスプレが趣味の痛い審神者が来たって思われたらどうしよう…
と言うかジワジワとこの状況を受け入れつつある自分がいてそれが一番怖かった。
「夢…じゃあないんだよなあ」