第3章 始まり
あれから時は流れ、私はもう中学生になっていた。あの頃が懐かしい。中学生になった私は家光さんと家光さんの奥さんでとってもお世話になった奈々さんに相談をして家を出ることにした。なので今は一人暮らしだ。
『懐かしいなぁ...みんな元気かな』
手紙のやりとりをしているものの、最近はあまり会えていないのだ。相変わらず、ザン兄とは連絡すら取れていない。私はベッドから起き上がると、部屋を出てリビングのソファーに座りゆっくりしていた。しばらくして時間になったので、家を出ることにする。
『いってきます』
学校への道をのんびり歩いていた私に後ろから声がかかる。
「優美、おはよ!」
『おはよう、結愛』
声をかけてきたのは、友達の上條結愛(ユイ)であった。入学してすぐに、隣の席の私に話しかけてくれて仲良くなったのだ。そこから話ながら学校に来た。私の学校は並盛中学校だ。校門の前には、学ランを着てちょっといかつい顔をした風紀委員の男の子達がいる。
「あれ、雲雀さんいないね?」
『そうだね』
結愛が言った雲雀さんというのは、風紀委員長である雲雀恭弥のことだ。そのまま、風紀委員の間を通り抜けて教室に入る。そしてクラスのみんなと挨拶を交わしてから、席についた。
「ホームルーム始めるぞ〜」
先生が入ってきたため教室は静かになる。しかし、突然ドアがガラっと開いた。
「沢田!お前はまた遅刻か!」
「す、すみません!!」
「いいから早く席につけ」
入ってきたのは、沢田綱吉。家光さんの息子でつい最近までは一緒に住んでいた。ツナは先生に謝ってから慌てて席についた。
『ツナ、おはよ』
「お、おはよう。優美」
小声で挨拶をかわす。ホームルームが終わり授業のため教科書を用意して、結愛と話をしながら先生を待つ。そしてもう気がつけば最後の授業だ。ちなみに体育で、男子と女子で別れて体育館でバスケをする。
「ツナ、パスいったぞ!」
その声に男子の方をチラッと見ると、ツナが顔でボールを受け取っていた。そしてさらには転んでしまう。
「優美、パス!」
『はーい』
あちゃーと思ったところで私にパスが回ってきて、そのあとは男子の方を見る余裕もなくなり、バスケを楽しんだ。
『あー、暑い!』
「汗かいたもんね」
結愛とそんな話をして私達は帰路にたった。