第2章 過去
「お兄ちゃんに別れを告げられる夢を見たみたいだ。家光、このボンゴレ本部であの子がお兄ちゃんと呼べるのは…」
「まさか!」
「わたしもわかっているよ。ザンザスは子供に好かれるタイプではない。でも、もしザンザスだった場合あの子が傷つくことになる」
「...9代目...」
「しばらく様子を見てみよう」
ティモッテオは優美のことをとても大切に思っていた。あの子には傷ついてほしくないのだ。それは家光も同じである。同じ年頃の息子がいるため本当の娘みたいに可愛がっているからだ。二人はどうかあの子が傷つかないようにと考えていた。しかしその思いは裏切られ、優美は中庭に行ってはしょぼんとして帰って来ていた。そして日が流れるにつれてだんだん悲しそうになっていった。それを見かねたティモッテオがある提案をする。
「優美、おいで」
『ティモ?どうしたの?』
優美の部屋を尋ねたティモッテオは、優美を呼ぶ。それに反応してとことこやってきた優美を膝の上に乗せ、話しかける。
「最近は悲しそうな表情をしているね。お兄ちゃんに会えないからかい?そのお兄ちゃんはなんて名前なのか聞いてもいいかな」
『うん...ティモならいいよ。あのねザンザスっていうの。いつもはザン兄って呼んでた!』
元気よく教えてくれた優美。しかしティモッテオは予想が当たってしまったことに驚きを隠せず、言葉を発することができない。
『あれ?そういえばザン兄、ティモがパパだって言ってた!どうして忘れちゃったかな?ティモならザン兄のこと知ってる?』
キラキラとした目が期待をするように、ティモッテオを見つめる。それに答えられないことに申し訳なく思うが、こう言った。
「優美、よく聞くんだよ。お兄ちゃんは少し遠いところに行ったんだ。だから、しばらくは残念だけど会えないんだよ」
『会えないの...』
悲しそうに俯いてしまう優美。
「そこで提案があるんだ」
『提案?』
優美はティモッテオの言葉に首を傾げた。
「家光の家族は、日本というところにいるんだ。そこに綱吉君っていう男の子がいるんだよ。その子は優美と同い年なんだ。寂しくないように優美はその子と同じ日本に行くのはどうだい?」