第2章 過去
そして当日、優美はベッドの上にいた。
『今日は、ザン兄に言われた通りにお部屋にいよう』
優美はそう呟いてから、ベッドに座り本を読んでいた。しかし、だんだん眠くなってしまった優美。いつの間にか眠りについてしまう。部屋の外では、ザンザスによる9代目へのクーデターが始まっていた。
「9代目!」
「家光か」
「優美は大丈夫なんですか?!」
「あの子は大丈夫。今日は部屋にいるって言っていたから、何人か部屋の前に立たせているよ」
「わかりました!」
慌ただしいボンゴレ本部。地下では9代目とザンザスが向き合っていた。
「どうして、お前は…」
「うるせぇ!」
しばらくしてザンザスは9代目に氷漬けにされ、長い眠りにつくことになった。
『...ザン兄!!』
優美は寝ていたが、目を覚ます。夢の中でザンザスは優美にお別れを告げたのだ。涙目になった優美だったが、ザンザスとの約束を守るために部屋を出ずにそこで待っている。そこにある人物が訪ねてくる。
「優美」
『ティモ!!』
入ってきたのは9代目である、ティモッテオであった。ティモッテオは涙目の優美に驚いたが、抱きついてきた優美を優しく抱き締める。
「どうしたんだい?」
『...お兄ちゃんがね、ばいばいって言ったの』
「そうかい、辛かったね」
9代目としての超直感が何かを訴えているが、とにかくこの泣いている女の子を慰めたのだった。しばらくして泣き止んだ優美はもじもしして何かを言いたそうにしている。ティモッテオは静かに優美が話し出すのを待つ。
『ティモ...お兄ちゃんまた会えるかな?』
「きっと会えるよ」
『うん!』
そこでにっこりと笑った優美。ティモッテオは部屋に戻り家光を呼んだ。
「9代目、どうしました?」
「あの子、優美がお兄ちゃんにばいばいって言われたと泣いていたんだよ」
「お兄ちゃんですか?」
「あの子は最近よく中庭に行ってはご機嫌で帰ってきてたんだ。そこで誰かと会っていたのかもしれない」
「そこで別れを言われたんですかね?」
「いや、言われたのは夢の中だよ」
「...どういうことですか?」
家光は意味がわからずに聞き返す。