第5章 道場
驚いた様子の京子と道場にいる野次馬たち。
「旗が...あがった...」
ツナの顔がいつも通りになった。そしてその場はワッと盛り上がる。
「スゲェ!!」
「勝ちやがった!」
そしてみんながツナの周りに集まって口々に言葉をかけていた。
「めちゃくちゃだけど、いかしてたぜっ」
「なんて奴だ」
「なんかスカッとしちゃった」
「見直したぜ」
ツナは信じられないような顔をする。
「(オレがやったの...?オレでも死ぬ気になればセンパイを倒せるんだ...。信じられない。オレがみんなの真ん中にいる)」
京子がツナに近づいて声をかけるみたいだ。
「ツナ君」
それにドキっとするツナ。
「(京子ちゃん...昨日のこと怒ってるんだろーな...)」
「昨日はこわくなって、逃げ出してゴメンね...」
謝る京子にツナはわたわたする。
「あたし、よく友達に笑う場所わかってないって言われるの」
「(冗談だと思われてるー!)」
ガーンといかにもショックを受けてますという顔のツナ。
「ツナ君ってすごいんだね!ただ者じゃないって感じ!」
しかし笑顔でそういった京子にツナは驚いたような様子をみせる。
「(!これってもしかしてあいつのおかげ...?あいつ言うこともやることもムチャクチャだけど、あいつがいなかったらこんなことありえない)」
ツナと京子は笑いあっていていい雰囲気だ。それを私は黙って見つめていた。
「優美は声かけなくていいの?」
『うん!だって京子がかけてるから。ツナはそれで十分嬉しいと思う』
私は結愛の問いににっこりして答えた。
「そうだ、ツナ君。昨日、優美が私にツナ君は優しいからちゃんと話せばわかってくれるって励ましてくれたの!ふふ、優美の言ったこと本当だったね!」
ツナは京子の言葉に私を見る。
「(そういえば、こういうときは真っ先に声をかけてくれそうなのに...。それにさっき励ましてくれたお礼を言わなきゃ)」
私はそのような会話がされていたとは知らずに、結愛と談笑をしていた。
その日の夜。私の家にリボーンが訪ねてきた。
『リボーン、話してくれるんでしょ?』
「あぁ」
リボーンにソファーに座ってもらって、そこからボンゴレファミリーのことやツナのことなどを教えてもらった。
『10代目...かぁ』