Luce e Concerto di neve【復活】
第10章 Anello
『Grazie、お兄さん』
「困った事が有ればいつでもどうぞ」
と一輪の花を添えて名刺をくれたお花屋さんのお兄さん。それ以外でも薬局屋に行く道中に老若男女問わず沢山の人から声をかけられる。イタリアの人は皆人懐っこいんだろうなぁと素敵な街だなぁと思いながらお目当ての薬局屋に入る。
※※※
「ひゅー♪舞姫もってもてー♪」
道中、沢山の人に声をかけられながら薬局へ入って行った舞姫を少し離れた建物の屋上から見守っていると影がさす。
「んぁ?」
「ゔぉお゙い!何してやがるクソガキぃ」
「王子暇だし?舞姫の観察。そーゆースクアーロこそ何してんの?オカマと買い物してたんじゃねーの?」
荷物持ちとして。
「余計な買い物し出したから置いて来た」
余計な買い物…また洋服でも買いに行ってんのかな、と想像しながら、ふと疑問に思った事をスクアーロに聞いてみる。
「舞姫の出身国って何処だと思う?」
「あ゙ん?」
いつも通り不機嫌そうに相槌を打って顎に手を当てながら考え込む。東洋人って言うのは分かるけど東洋は広いし。
「雰囲気的にはGiapponese…だな。だが日本人にしては大分エキゾチックだからタイ、フィリピン辺りか」
「タイだな!タイは東洋でも美人が多いし」
まぁタイの美人はレディボーイとか言われる所謂工事済みの………まさか舞姫も元は…いや、それは無いか。不可抗力だったけど俺一度、舞姫の裸見てるし。
-チリリン-
「「!」」
そんな事を思い出してると舞姫が薬局屋から出て来る。それはもう大量に荷物を抱えて。薬局屋で何をそんなに買い物する物があるんだろう。
※※※
いやー大量に買ってしまった。三年も普通の暮らししてたらお得とかサービスって言葉に弱くなる。これで数ヶ月は医療品の買い物に出なくても良さそうだ。荷物自体は重くは無いが嵩張ってて量は多い。
-どんっ-
『わっ、すみませ…』
とぶつかった人に謝ろうとしたら左右に人影が現れてアタシの荷物を奪う。左隣には銀髪。右隣には金髪。
「うしし♪王子暇だし荷物持ってあげんよ」
「ゔぉお゙い!もう少し考えて買い物しろォ」