Luce e Concerto di neve【復活】
第10章 Anello
邸の庭園の一角にはアタシ専用のビニール菜園がある。菜園って言っても野菜を育ててるのでは無く育てているのは薬草。自ら改良して特殊な薬草や毒草も栽培している。暗殺者がこんな事言えたもんでは無いけど一人でも多くの命を救える様により良い薬の開発は重要なのだ。無論技術も大事だけど技術は最高レベルだと自負している。
『今日も皆さん絶好調、と』
薬草育成日記に本日の薬草達の状態を記入して歩く。
あの重大任務や武装集団の奇襲から二週間が経過。アタシがヴァリアーに来て一ヶ月が経過。アタシがヴァリアーの幹部になって二週間が経過。時間が流れるのは速い。あれからヴァリアーは表立っての任務が増えたみたいで他の幹部は忙しそうに任務に明け暮れている。
アタシはと言うと…幹部に昇格したものの仕事は幹部前と全く変わらず平和。幹部に上がったからには色々と忙しいのだろうとか思ってたけど、そんな事は無く基本は医者の仕事をしている。とても有難い。
「お、舞姫いたいた♪」
『あらベル君!どうしたの?』
「買い物行こう」
『………買い物?』
何でまた買い物。
「オカマが食材の買出し行くんだって。王子もたまには街で買い物しようと思って」
『へぇ…』
あ、そう言えば脱脂綿とか包帯とか残りが少なかった気がする。折角のお誘いだしアタシも買い物に同行させてもらおうかな。
『うん、アタシも行く』
※※※
部下さんの運転するリムジンで街に向かったのはルッス、ベル君、スク、アタシ。そして………ザンザスさん。え?ザンザスさん買い物なんてするの?とか思ったけどザンザスさんはどうやらお目当てのお酒があるらしく街に着くなり颯爽と酒屋に入って行った。
「じゃあ各々買い物を済ませて正午にはボスが入って行ったそこの酒屋で合流しましょう」
ランチ食べて帰りましょうね!と各自の買い物目的の為バラける。酒屋でランチとかやってるなんて珍しいなぁなんて思いつつも薬局を探し歩く。そう言えばヴァリアーに来てから買い物に出るのは初めてな気がする。イタリアには何度か来た事あるけど街を歩くのも初めてかも。と考えてると自然と楽しくなってきたり。
「こんにちわ、お嬢さん。何か探し物かい?」
『ええ、薬局を探してるの』
「薬局ならそこの角を右に曲がったところだよ」