Luce e Concerto di neve【復活】
第8章 Missione critica
-ジジ…-
一同「!」
映像が示す時間は26時40分。
舞姫が玄関から出て来る。左肩に長物を担いで右手で拘束したパンツ一枚の男を引き摺って。侵入者だろうか。だがこの時間より前に人影は無かったから別の経路で侵入したのだろう。
"ちょっと起きて"
ぺちぺちと男の頬を叩く。
"貴方のお仲間は何人?今何処にいるの?"
"………"
"強くオトし過ぎちゃったか…探すの面倒だしこっちに来てもらうか"
そう言うとガーターから拳銃を取り出して数発、空に向かって放ち、そしてものの数分で武装集団が集まる。
"黙って帰っては…くれなさそうね"
一同「………」
音も無く鞘から抜かれた長刀は月光を浴びて妖しい光を帯びる。時間が経った血の様な凄惨な朱殷の長い等身。鍔も柄も無い持ち手は包帯で巻かれた奇妙な形をした長刀。
※※※
一同「………」
ごくり、と音を立てて唾液が喉を通る。
映像が示す時間は26時50分。僅か10分かからずにカタが付く。
"さて。最後は貴方なんだけど"
拘束していた男に近付くと血に濡れた指先で顎を持ち上げる。
"貴方の依頼主は誰?"
"話す事は………無い゙っ!"
舞姫は何もしてないのに盛大に吐血する。恐らく舌を噛み切ったんだろう。それは舞姫も予想外らしく深い溜息を吐くと庭に向かって投げ捨て、そのまま一瞬で姿を消す。そして五分後には東西南北の四方に警備させていた負傷の部下達を担いで玄関から邸内に入るところで映像は終了する。
「ふっ…面白ぇ」
珍しくボスが高らかに笑う。監視カメラの映像から戦闘光景は殆ど見られなかった。だが音声はしっかりと残ってたから大体は想像が付く。俺達ヴァリアーは恐らくとてつもない力を手に入れてしまった。それが吉と出るか凶と出るかは分からないが。
「舞姫を連れて来い。褒美くらいくれてやらねぇとな」
一同「!」
※※※
『え…やだ皆、顔怖いよ?』
皆が任務から帰って来たのは明け方の四時。そこからスクの傷の手当をして、それからヴァリアーについて少し調べて怪我人の様子を見てたら内線で視聴覚室に呼び出される。
時刻は五時前。皆の顔付きは険しい。アタシ何かしただろうか?