Luce e Concerto di neve【復活】
第7章 Trappola per miele
さっきの人も10分以内には逝くわ、と続ける。既に口紅に毒を盛ってる時点でハニートラップのプロだと伺える。これは技術だしそれに対してあーだこーだ言いたくは無いが…正直こんな犠牲的な事はさせなく無い、と思う。
「己を大事にしろ」
同じ暗殺者が言えた台詞では無いのは分かっているが口から出た台詞はこうだった。舞姫は素早くドレスを着た後に小さく頷くだけだった。
※※※
"己を大事にしろ"その言葉の意図は分からない。でもその言葉はアタシの心に深く刺さってとても暖かい気持ちになった。
「それよりその毒は自身の唇に塗ってる訳だがダメージは?」
『多少はあるよ。でもこのくらいの毒なら耐性あるから』
「ゔぉお゙い!毒に耐性あるとかチートだろォ!?」
『多少ね、多少』
そりゃもう猛烈にヤバい毒だと流石のアタシもひとたまりもないけども解毒剤は常に常備してるし。そしてこのアタシが調合する解毒剤よ。毒なんて怖くは無い。
-ピッ-
『コピー完了ね。ルッスに車つけてもらいましょう』
そう言ったらスクは直ぐにルッスに連絡を取る。その間にUSBを胸元に仕舞いこんで痕跡が残ってないかチェックする。
「行くぞ」
『うん』
※※※
『…任務の報告は以上です』
「………」
時刻は25時。帰ってそのままザンザスさんに任務の報告に行けば一瞬だけ凝視されて報告中は目を閉じて黙って聞いていた。
『大した収穫は無かったけど不可解な点は多い。どうする?』
「テメェはどう思う」
『勘だけど…放って置くのは良くない気がする』
そう、何か良くない気がするのだ。何がって聞かれるとイマイチ説明付かないけども…昔から勘は良い方だから放置するのは良くない。
「………その件はテメェに任せる」
『ん、分かった。じゃあアタシは休ませてもらうね。慣れない格好したから疲れちゃった』
「ご苦労だったな」
『いいえ』
「ゔぉお゙い!舞姫だけか!?」
「るせぇドカス」
そんな様子を聞きながらアタシは部屋を出る。
※※※
「…で?」
舞姫が去った部屋には俺とボスだけ。不意にボスが何かを確認する様に口を開く。
「あのやり方は俺には理解出来ねぇが…」