Luce e Concerto di neve【復活】
第7章 Trappola per miele
「イニシャルか…一応社長室のパソコンから関連の名簿はコピーしといた」
『そっか…後はアジトに戻ってから調べよう。これ以上此処に居ても有力な情報は得られそうにない』
-コンコン-
『「!」』
※※※
「社長、いらっしゃいますか?」
外から声が聞こえる。恐らく部下か何かだろう。生憎この部屋の出入口は一つ。窓があるにはあるが開閉出来ないタイプで特殊な強固ガラスな為壊すにも多少時間がかかる。殺るか、と思って剣を構えると舞姫に制される。
『この場はやり過ごしたい。まだ全てのデータのコピーが出来てないから』
「どうするつも…っ!?」
りだ、と聞こうとする前にストールを俺に向かって投げ付け、その邪魔なストールを剥がせば、パサリとドレスが床に落ちる。当の本人はそれを気にする事無くベットのシーツを身体に緩く巻き付ける。
「………?社長?」
-ガチャ-
「良かった、いらしたんですね社ちょ…っ!?」
『あら?何か用かしら?』
「わ、だ…あああああのっ!?」
『御免なさいね、こんな格好で。寝ていらっしゃるから私が伝えるわ』
「あのっ………え、と…その…」
『それとも………混ざる?』
「いっ…いえ!!大丈夫です!!!」
しどろもどろになりながら視線を思いっきり逸らすのは、やはり部下だろう。まぁあんなのが出て来たら普通はそうなるっ…て言うより逃げ出すな。
「もっもうすぐ挨拶の………時間ですので…」
『そう。有難う坊や』
-ちゅっ-
「「っ!?」」
『起こしたら会場に向かう様に伝えるわ』
「しっ…ししし、失礼致しました!」
バタバタと足音荒く去って行くのを確認して扉を閉めるとシーツを引き摺りながら戻って来る。
「おまっ…何してんだァ!!!」
『何って…接吻』
あっけからんと言う舞姫。そこでふと気付いて先程自分がトドメをさした標的を見る。全裸でオスを剥き出しにしたまま。
「まさかヤっ『てない』………」
『この口紅ね、毒なの』
「毒?」
『即効じゃないけど遅効って程、遅効でもない。オリジナル調合した毒で時間が経つと眠くなってそのまま眠るように逝ける』
「随分と良心的だな」
『だって死ぬなら眠るように死にたいじゃない』