Luce e Concerto di neve【復活】
第7章 Trappola per miele
その行為に答える様に舞姫も標的の首に腕を絡めて頬に手を添える仕草を見て、ふと気付く。舞姫が言ってた会った瞬間に一瞬で情報を聞き出す方法………それは恐らくハニートラップの事だと。
「どうだろう?私の部屋に年代物のいいワインがあるんだ」
『素敵ね。是非ご一緒させていただくわ』
-ピンッ-
「!」
去り際に舞姫から物を投げられる。素早く受け取った手には社長室と端に書いてある一枚のカードキー。成程…俺に仕事を手伝わせる気か。抜かり無い女だ………にしても。あの一瞬で見付けてくすねるとは手馴れてやがる 。
※※※
オスを剥き出しにしたままベットに横たわる標的を無視してパソコンの操作をしながら無線に話し掛ける。
『どう?そっちは』
"大した情報は無ぇな"
『…でしょうね』
"つー事はそっちもか"
『んまぁそんな所。今部屋のパソコンをハッキングしてる最中』
"直ぐ向かう"
それからものの数分。部屋のロックをハッキングしてスクがやって来た。
「…ゔぉお゙い…テメェ何しやがった」
『何も。洗いざらい吐いて貰ったからご褒美をあげただけよ』
「まだ生きてるじゃねぇか」
『もう少ししたら毒で死ぬ』
「生温い事言ってんじゃねぇ!」
ザクッと言う音とベチャッと言う粘着音が背後で聞こえる。殺ってしまったのが容易に想像付く。ハッキングが終了したパソコンにUSBを取り付けデータをダウンロードしてると直ぐ後ろに体温と微かに香る血の匂い。
「これは?」
『取引履歴と今後の取引予定表』
「麻薬取引、資金横領…まぁやってる事はよくある悪事だな。そのよこに記載してあるK・MとかJ・Bってのは…」
『多分普通に取引相手のイニシャルじゃないかな』
今回の標的から本来の最終目的である、とある大富豪の情報は殆ど得られなかった。何せその大富豪は幾つかの名前とコードネームをもっており会った事すらも無いらしく仕事の取引は、それぞれ別の人物から持ち掛けられるらしい。そしてその人物達もコードネームだとか。とても用心深い人物だと考えられるけど…ただ一つ分かってるのは、そのとある大富豪の事を"L氏"と人物達が言っていたとの事。
『"L氏"ねぇ…』
その"L"にはどんな意味があるのだろう。