Luce e Concerto di neve【復活】
第7章 Trappola per miele
『なぁんだ、ちゃんとエスコート出来るんだ?』
くすくすと小さく笑いながら言う。
『いつも粗暴なのに意外だった』
「…るせぇ」
俺だってこんなのは柄じゃねぇんだよ。
※※※
「じゃ、頑張ってね!お迎えはいつ頃がいいかしら?」
『待機して貰えれば』
「「!?」」
『パーティが終わる頃には終わってると思うし』
「…んま♪」「言うじゃねぇか」
紅を挿し直してドアを開けようとすると勝手に開く。
「お手を」
と差し出された手を掴んで車から降りる。煌びやかな屋敷の門の所では入場審査が行われている。ポーチから偽物の招待状を取り出して警備員に渡してセンサーを通る。
「ではごゆっくり」
難無く第一関門をクリアし、スクの腕に自分の腕を絡めて歩く。
「まぁ…見て、素敵な殿方」
「あら本当!何処の御曹司かしら?」
うっとりした様な声と熱視線が四方八方から感じる。まぁそうだろうな。黙って普通にしてればイイ男。アタシも初めて見た時は綺麗な男性だと思ったから。まぁ中身は…あんなんですけどね。
「ゔぉい!どうやって標的に近付くつもりだ」
『近付くなんてナンセンス。女は花、男は花に群がる虫。勝手に寄ってきてくれる』
(コイツ…怖い女だな…)
※※※
パーティ会場に入場してから直ぐ。舞姫の言ってた通り舞姫に沢山の虫が群がる。酒や料理、何処から持ってきたか分からない花を抱えて言葉巧みに口説き文句を並べる。
『まぁ素敵!有難う御座います』
そんな虫共に愛想を振り撒く姿を見るのは………正直面白くねぇ…と思うのは何故だ。
-カツッ-
「失礼、マドモアゼル」
『「!」』
コイツは…今回の任務のターゲット。舞姫に近付こうとしたら目配せで制される。
「あぁ…何と麗しい…一目見ただけでこの私の心を盗んでしまうなんて。とても罪深い女神だ」
『あらやだ…お口説きになってるの?』
「口説く?そんな軽々しいものじゃありませんとも。貴女だけに愛を囁いているのです」
強引に腰を引き寄せ顎を持ち上げる。こいつぁただの女好きだな。
『とても情熱的な殿方ね』
「君の事が知りたい」
『ふふふ、私も貴方の事が知りたいわ』