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Luce e Concerto di neve【復活】

第7章 Trappola per miele


化粧はあまり好きじゃない。顔に何か付いてる感がとても不快。だけど誰かは言う。化粧は淑女の嗜みだと。そんなのは言われなくても知ってる。ただ好きじゃないだけ。ちゃんと出来る。



『こんなもんで充分か』



化粧を終えて髪の毛をきっちり纏めてウィッグを被る。明るい茶髪のボブカットのウィッグ。あ、ショートカットも有りだなーんて自画自賛した後にクローゼットを開く。頼んだ訳では無いんだけど多種多様なドレスをルッスが手配してくれた。



『丈は長い方が良いかな』



短いとやり過ぎ感あるし。くるぶし丈でスリットが深いタイプと膝丈でスリットが浅いタイプどちらがいいだろうか。上半身はどの程度の露出が最適だろうか。個人的にはスリットが深い方が動き易いんだけど…調べた結果の標的である社長さんの好み的には清楚系かな。



『コレかな』



浅いスリットの入った膝丈。胸元の露出は控えめで背中は大きく切れ目が入って編み込んであるタイプ。正面から見たら清楚系、後ろから見たら、あらやだセクシー的な。



『色は青。ストールは薄いグレー』



ダブルガーターベルトとハイヒールに武器を仕込んで通信機能のあるアクセサリーを身に纏う。こういうのも三年ぶりだけど…三年前よりだいぶ大人の女性に見える気がする。



『ん、完璧』





※※※





「ゔぉお゙い!遅ぇぞ舞姫!」

「まぁまぁスっ君。女の子はお粧しに時間がかかるものよ」

「何をそんなに粧し込む必要が…」

『あるのよ。任務に素顔は残さない主義なの』



送迎の車の前でルッスと舞姫を待っていたら後ろから凛とした声が聞こえて振り返る。



「ゔぉい!遅、え………ぞ…」

「んまぁ!」



特徴的な黒い長髪はウィッグで隠され、原形は留めているものの濃い化粧であどけなさは皆無。スーツに白衣と言う常時スタイルも今日はドレス。一見は清楚だが隠せない色気と言うものが滲み出ていた。



『ルッス運転手してくれるんだって?有難う』

「んもぅ気にしなくていいのよぉ!」



と身体をくねらせながら言うルッスに軽く肘でつつかれる。わーってるよ、ちゃんとエスコートしろってんだろ。



「ん゙」



と手を差し出せば、そっと置かれる柔らかい手。こんな手で…多くの命を救い多くの命を奪うのか。
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