Luce e Concerto di neve【復活】
第6章 Incubo
ナイフが飛んできて、そのすぐ後に拳がルッスの顔面に直撃して、へなへなとルッスが倒れ込む。
「オスになんじゃねぇよクソカマ」
「舞姫テメェ気を付けろ」
気を付けろって何に。仲間に気を付けろっての?いやいや、それはオカシイでしょ。
『あ…血…手当て…』
「そのくらい唾付けときゃ治るって、オカマなんだし」
『え、でも…』
「ちょっと来い舞姫。話がある」
話…何だろう。少しくらいなら医務室空けても平気か。
※※※
スクについて行けば向かった先はザンザスさんの部屋。これまた安定なんだけど扉を開けた瞬間に物が飛んで来てスクの頭に命中する。多分このやり取りは二人の間での挨拶なのだろうと最近は思ってるんだけど、やっぱりぶつけられたスクの頭はたんこぶが出来てたりするから後で処置するのはアタシの仕事。
「っでぇ…」
「舞姫」
『うん?』
「貴様に任務をやる」
『アタシに?』
バサッと机に投げ付けられた書類を手に取ってパラパラと捲る。
ある大富豪の情報収集と言う任務。その為にとある証券会社のお偉いさんに近付くと言うシンプルかつ長期的になりそうな任務。だけど危険性は低い。
『情報収集…その後は?』
「好きにしろ」
つまりは煮るなり焼くなり殺すなりどうぞお好きにって事か。まぁ大体こう言う類は情報を引き出した後に始末は必須。
『直ぐに?』
「急ぎじゃねぇ。テメェの好きなタイミングで遂行しろ」
…とどのつまり時間をやるから抜かりなく調べ尽くして準備して完全に遂行しろって事ね。ザンザスさん口数は少ないけど言わんとしてる事は分かり易くて理解しやすい、とこれまた最近気付いた。
『了解』
※※※
『はい終わり』
ペタリとおでこに湿布を貼り付けて薬箱を棚に仕舞う。
『避けれるんだから避ければいいじゃない。何でわざわざぶつかるかなぁ』
「避けたらもっと悲惨な事になるだろうがァ!」
『そんなに頭にダメージ受けてたら将来禿げるよ』
「うるせぇ!!禿げねェ!!」
はいはいと流す様に笑うと椅子に座ってパソコンを立ち上げるとカタカタとリズム良くキーボードを叩く。
「………」
『なぁに?』
「………んでもねぇ」
『ふふふ』