Luce e Concerto di neve【復活】
第6章 Incubo
周りの人がチヤホヤするくらい勉強も出来て運動神経も良かった。多少喧嘩っ早かったけど男の子に負けないくらい喧嘩も強いお姉ちゃんだった。
「姉ちゃんの事、大好きなんだな」
『今でもあたしの憧れ。今頃何処で何をしてるんだろう』
「…!?死んだんじゃねぇのか?」
『って言い聞かされてたけど、あたしはそうは思わない』
だって、あの後の葬式の時…両親の遺体は焼かれたけど、そこにお姉ちゃんの遺体は無かったんだもの。だからあたしは信じてる。何処かでお姉ちゃんは生きてる、と。
だってあの時の温もりも優しいキスの感触もちゃんと覚えてる。
『だからお姉ちゃんと再会出来たら…今度はあたしがお姉ちゃんを守ってあげるんだっ!』
「きっと姉ちゃん、喜ぶぞ」
そうだと…良いな。
※※※
-同刻、イタリア…
『ふあ…』
眠気からか酸素不足からか分からない欠伸を噛み殺して少し身体を伸ばしてからデスクに向き直る。数枚のカルテを束ねてバインダーに挟んで席を立つと医務室の扉が開く。
「どぉ?レヴィ達雷撃隊の容態は」
『ルッス…うん、大丈夫』
ヴァリアーに来て一週間が経った。当初と変わった事は二つ。皆に敬語を使わなくなった事と名前を呼ぶ時に敬称を付けなくなった事。初めはどんな事させられるんだろうとか不安だったけど至って平穏に過ごしていた。
しかし今日の日付が変わる頃に任務から戻って来たレヴィ達雷撃隊が負傷して帰って来たのだ。任務自体は成功したみたいだけど、どうやら敵の毒にやられてしまったみたいで。
『もう解毒もしたし朝になれば目を覚ますと思う』
「そう…流石舞姫ちゃんね!舞姫ちゃんが居なかったら隊員が減ってたところよ」
『そんな大袈裟な』
毒自体は遅効性で大した効力も無いから命に別状は無い。外傷も殆ど無いから問題は無い。でも一応、皆が目を覚ますまではアタシは徹夜な訳だ。
「別に寝ても良いのよぉ?レヴィ達なんて放っておいても平気なんだからぁ」
『専門医なんだからそうはいかないって』
「んもぅ本当に良い子なんだからぁ!」
ぐりぐりと頭を撫で回されて、すりすりと頬擦りされる。かと思うと。
-ひゅっ…-
-バキッ-
「ごはっ!?」
『ルッス!?』