Luce e Concerto di neve【復活】
第4章 VARIA
四つ巴の抗争を掻い潜ってアタシを此処に連れて来たんだ。見た目は元気そうだけど、そこまでしてアタシに診て欲しいくらいにこの人を心配してるのだから彼に何かあっては皆さんの苦労も水の泡になるしアタシ自身の面目も立たない。
マーモンちゃんを下ろしてボスと呼ばれた人に歩み寄る。
-カチッ-
「ゔぉお゙い!やめろクソボスぅ!!!」
「駄目よボス!」
※※※
-ガンッガンッガンッ-
迷い無く引かれた引金は三発の銃弾を飛ばす。
-カンッコンッキィン-
一同「…え?」
その銃弾は間違い無く胡蝶に向かって放たれたハズなのだが胡蝶は平然と立っている。赤いヒールを持って。
「………」
『気は済みましたか?』
そう静かに言う胡蝶。確かに胡蝶に向かって引金は引かれたハズなのにボスが脚を置くテーブルの上にあったグラスの左右一センチの距離に弾がめり込み残り一つの弾はボスが座るキングチェアの背もたれにめり込む。
「………」
『意にそぐわなければ殺します?別にそれでも構いませんがアタシはそんな簡単に死にませんし、いくらお偉いさんと言えど患者ならば医師の命は絶対。病気や怪我なんて変な事で死にたくないならアタシの言う事は聞いて下さい』
と持っていた赤いヒールを履履き直すと椅子に座るボスを見下ろす。
「…ふっ。面白ぇ!テメェ等、今回だけは褒めてやる」
「「「「!」」」」
「脱げば良いんだな?」
『上半身だけ。診て触れば大体分かりますから』
※※※
『………』
一同「………」
ぺたぺたとボスの身体を触診しては紙にメモを残す。ボスに何があったか特に話した訳では無い。
『低体温…凍傷…筋肉などの運動能力の低下………まるで長年氷漬けにでもされてたみたいな症状』
一同「!!!」
『その状態から抜け出してまだ数日しか経ってないわね…そんな中でこれだけ運動能力が戻ってるのは恵まれてる』
確信付く言葉にドキリと心臓が波打つ。
『薬は凍傷用と栄養摂取用だけで間に合うな。低体温は食事気を付けて暖かくすれば戻るし運動能力は既に回復の傾向がある』
大した問題はありません、と言い放つとメモを取った紙を四つ折りにしてジャケットのポケットに仕舞う。