Luce e Concerto di neve【復活】
第4章 VARIA
クルーザーで海を走って一時間半。そこからリムジンで道を移動して小一時間。約三時間でヴァリアーのアジトとやらに到着する。日もすっかり落ちてるせいか何処か薄気味悪い立派な邸。アタシの前を歩くのはスクアーロさん。右隣を歩くのはベルフェゴール君。左隣を歩くのはルッスーリアさん。その後ろは数名の部下。完全に包囲されてるアタシは施術の血と煤で汚れた白衣とマーモンちゃんを抱えて歩く。
「何でハナタレ小僧はちゃっかり抱えられてんの?」
「ベルも赤ん坊になれば抱えてもらえるんじゃない?」
『まぁまぁ二人共』
移動中、特に積もる話をした訳じゃないけど一番警戒心が強かったマーモンちゃんは慣れてくれてリムジンの中じゃずっとアタシのお膝の上に居た。しかしハナタレ小僧って…マーモンちゃんは女の子だとアタシは思ってたんだけど…
-ばふっ-
『っつ…!』
そんな事を考えながら歩いてたら目の前のスクアーロさんが立ち止まったのに気付かないでぶつかってしまう。大きな扉の前。恐らくここに診てもらいたい人が居るのだろう。確かボスを診てもらいたいって言ってた気がするけど…どんな人なのだろう。扉の前からでも異様な威圧感を感じる。
「ぼやっとしてんじゃねぇ!」
『あ…ごめんなさい』
「ゔぉお゙い!帰ったぞクソボス!」
-ひゅっ…-
-ガンッ-
「っで!?」
『!?』
声を荒らげて荒々しく扉を開けると瞬間に何かが飛んで来てスクアーロさんの頭に命中する。
『え…あ…だ、大丈夫ですか…?』
「いつもの事だから気にしなくて大丈夫よぉ!ボスぅ~胡蝶のスカウトに成功したわぁ」
※※※
「胡蝶…?」
じろり、とアタシを捉える灼眼。刺殺されそうな程に鋭い殺気。キングチェアに腰掛けて長い脚をテーブルに置いて如何にも危ない感じの人。テーブルの上にはアルコールの入ったグラスがある。匂い的にテキーラだろうと判断。
その側に控えるのは大柄の男の人と………機械?ロボット?
『初めまして。失礼ながら挨拶は診てからにさせていただきます。早速ですが上着を脱いでいただけますか?』
「あ゙?」
一同「!?」
一層に鋭くなる殺気と灼眼。でもアタシはそんなの気にしない。皆さんがアタシをスカウトするのはとても大変だったと思う。