第10章 僅かな変化~身体と、時と、心~
ーコンコンー
「どうぞ。」
「佐助君久しぶりだね。どうしたの?」
「実は・・・ワームホールがまた出現することになりそうなんだ。」
「えっ、でも私は戻らないよ?」
「うん…そうなんだけど…」
佐助が珍しく言葉を濁す。
「そのワームホールは本能寺の変から半年後、しかも場所がこの安土になりそうなんだ。」
「それで・・・」
歌恋は嫌な予感がしてきた。佐助は今まで言葉をこんなに濁したり、口ごもったり無かった。
そこまでなるには理由がある・・・と。
「そのワームホールはここ一、二ヶ月で急激にパワーが増してるんだ。」
そのせいかはわからないが、京都や安土で大雨や長雨が続いたりと天変地異のような事が起きていた。
「そして、今ついこないだまでいたあの戦場が近くの川が氾濫して大きな被害を受けたんだ。」
その天変地異の起きてる順番として歌恋が居たところが当てはまる。
そう話してくれた。
「なにか最近変化はあったりした?」
【最近の変化・・・】
そう、それは信長の子どもを宿した事だった。
「もしかして、歴史を変えた歌恋さんを何らかの力が働いて信長様から離そうとしているのかもしれない。」
「そんな!歴史を変えた事は不可抗力みたいなものでしょ?」
珍しく歌恋が声を張り上げる。
「落ち着いて、、」
「それはそうなんだけど・・・」
佐助が更に言いづらそうに続けた、
「恐らくだけど、信長様の子どもを宿した事でワームホールが何らかの力でもう一度復活して、歌恋さんとその子どもの命を狙っているのかもしれない。」
「そんな!」
佐助は申し訳なさそうに話しをし、安土からどこかへ遠くへ行けばもしかしたらワームホールから逃げられるかもしれないと言い残して去っていった。