第10章 僅かな変化~身体と、時と、心~
家康の部屋へ行き自分で確かめに行った信長はその帰り道、あまりの嬉しさから歌恋を抱くこともせず、一晩中これから生まれて来る子どもの事を話しあった。
「春になったら祝言を挙げよう。明日、秀吉に話しておかねばな……」
「ふふ、そうですね…早くしないとお腹が大きくなって晴れ着が着れないかもですね。」
「歌恋、お前が着たいと思う物を作れ。お前が以前言った“うえでぃんぐどれす”とやらでも構わん。」
「信長様……」
「歌恋……愛している。そして、俺の子を宿してくれた事感謝する。」
「私こそ、御礼を言わせてください。未来から来た私を愛して下さり、そして宝物まで頂いて幸せ者です。」
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その頃佐助はワームホールの不気味とも言える動きをようやく掴め、次のワームホール出現が本能寺の変から半年後の12月、安土に現れると確証がとれた。
そのワームホールは今までとは違う感じがし、佐助は嫌な予感を胸に抱え安土城へと向かっていた。
時は師走。
世の中が忙しなく走る事が多いから“師走とついた”という噂が流れるほど、慌ただしく過ごしていた。