第10章 僅かな変化~身体と、時と、心~
「今日の炊き出しは俺から三成に言っておくから」
そう言って天幕で今日一日休んでいるように言われた。
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その頃、佐助はワームホールについて再度調べ始めていた。
ここの所、京都では連日の豪雨。安土でも不安定な天候が続いていた。
「まさか・・・、まずいな・・・歌恋さんが危ない。」
それから数日後、顕如討伐を終え信長達は三日後に安土に戻ることになった。
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安土に戻る日の朝の事。
信長は慌ただしくしていて、帰るその日まで、ほとんどゆっくり過ごすことは無かった。
歌恋は時よりものすごい吐き気に襲われるも、それ以外は至って変わらずに過ごしていた。
(どうしよう・・・、馬に乗ったら揺れで気持ち悪くなりそうだけど…なんとか耐えなきゃな・・・)
「はい、これ」
そう言って家康が小さな包に入った粉のような物を渡してきた。
「これは?」
「一応、吐き気止め。まだ言ってないんでしょ?」
「うん。ありがとう!」
満面の笑みで家康に礼を言った。
「別に・・・約束だし、今のうちに飲んできたら・・・」
そう言ってそっぽ向いてどこかへ行ってしまった。
そして、帰る頃。
「歌恋。今日は俺の馬に乗れ。」
そう言ってヒョイっとあげ、耳元で囁いた。
「お前に触れられなかったこの二月を埋めるように今宵は甘やかしてやる・・・。」
「の、信長様・・・//」
顔を真っ赤にして下を向いた。
「皆の者帰るぞ!」
信長の一声で
「おぉー!」
っと。家臣達の声が響いた。