第6章 あなたの手を離さない~信長√
「信長様、今日はありがとうございます!」
「城下にも行けたし、見たかった反物も見れたし、それに簪と耳飾りまで…」
「この簪似合ってますか…///」
そう言って顔を真っ赤にして俯いた。
「あぁ。お前によく似合ってる。今日の快気祝いの宴に付けていくと良い」
「宴…ですか?」
「あぁ。お前がだいぶ食事も戻ったからと快気祝いをするとな」
「ありがとうございます。」
「ふふ、私幸せものですね…。」
「こんなに安土のみんなから良くしてもらって。」
「今更気付いたか。」
「えぇ。今更です。」
夕日に向かいながら二人で安土城に向かって歩く。
「私ここにきてすごく充実した日を送れているなって思うんです。」
「どうしたいきなり。」
「だって毎日の時の流れがちゃんと一瞬一瞬あって、人と人の関わりも濃くて、500年後からきた私をこうやって受け入れて下さったし…」
「おかしいなぁ、嬉しいはずなのに涙が…」
少し先に進んで信長の方を振り向き歩いていた歌恋。
すると信長がすっと頬に伝った涙を指で優しく拭い
「んっ…///」
それはそれはとても優しく、甘く、濃厚に信長が唇に口付けをした。
時間にしてみればほんの一瞬の事のはずが、それはとても長く時が止まったように感じた。
「んっ………はっ…」
息が出来なくなり信長の胸を叩くとようやく離れた。
「泣くな…歌恋」