第5章 迫り来る時とあなたの手を離したくない……
歌恋は毎日来てくれる武将達のおかげか目を覚まして10日程経つと食事も前と同じ位にもどり、少しずつ元へ戻ってきていた。
(みんなに迷惑掛けちゃったしなぁ。なにかお礼出来ないかな…。)
そんなことを思いながらも、一番になにかを挙げたいと思う相手は既に決まっていた。
歌恋はタイムスリップしてきた時に持っていた色鉛筆とスケッチブックを取り出し、刺繍のデザイン画を描き始めた。
「喜んでくれるかな~?」そんなことを1人でつぶやきながら布団から起き上がって、デザインを描き始めていた。
うっすら気づき始めたこの感情は花の蕾のようにまだ小さく、やがて咲き誇るまでのほんの過程の一部に過ぎなかった。
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その頃、安土の城下に来ていた佐助は、ワームホールの出現が近づいていること、その場所が安土城周辺か京の周辺どちらかだろうと考えていた。
一時期弱まっていたワームホールの力もだんだんと増しているように感じるのは気のせいか…いや、気の所為ではない。
「まさか歌恋さんの状態にリンクしているんじゃ?」
とりあえず彼女の様子を見に行こう。
しばらく謙信の政務の付き合いで彼女に会う時間がとれなかった。