第5章 迫り来る時とあなたの手を離したくない……
歌恋が目覚めて3日。
目を覚ましたと聞いた時には信長、家康、秀吉のみならず、三成、政宗、家臣達や女中まで泣いて喜んだほどだった。
政宗は「食べるもの食べて早く体力つけろ!」といっては朝、昼、晩と手料理を持ってきて見舞いに来てくれた。
三成も退屈しないようにと絵巻物を持ってきたりして気を紛らわすなどしてくれた。
秀吉といえば、ことある事に顔をだし、「ちゃんとご飯は食べてるのか?」、「夜はちゃんと寝れているか?」、「痛い所はないか?」、「辛い所はないか?」など、自分が側にいながら気づけなかったことをひたすら謝り、謝らなくていいと話すと子ども扱いするかのように聞いてくるようになった。
家康といえば、「ちゃんと薬も飲んでおいてよね。これ以上具合悪くなったりしたらもっとめんどくさいし、俺が持たないから…」最後の方はよく聞こえない位の小さな声になったが、『めんどくさい』や『ちゃんと薬飲んでよね。』などと家康の性格を知らない人であれば病人に対してひどい言葉だと言われかねないが、時々『また強がってないか俺が心配だから診ているだけだから』などと優しい言葉?も掛けてくれる。
信長といえば、政務が終わるのがどうしても夜になり、昼間顔を見ることができない時は秀吉に見つからないようにこっそり隠し持ってる金平糖を袖に隠し歌恋に少しばかり渡したり、一緒に外を眺めたりと時間としては短いが、できる限りのことをしていた。