第4章 動き始めた気持ち、揺れる恋心~
その日から3日間歌恋は意識戻らないままだったが、4日目になりようやく熱が下がり、後は目を覚ますのを待つのみだった。
その日から家康は歌恋の治療をするために隣りの部屋で仕事や寝起きするようにした。
「歌恋に何かあったら自分の部屋だと遠いから」と素直に心配だからと言えない家康だが、内心は歌恋の側に他の武将よりも長く居たいという独占欲みたいなものが働いていた。
秀吉も家康が側にいられない時や、歌恋の熱を覚ますための水換えなどできる限りのことをした。
(俺がもっと早く気づいてやれれば…)と表向きには罪滅ぼしとは言っているが、内心、家康が治療という名で側に付くことが多い為嫉妬のような心が湧いていた。
信長も政務の合間をぬっては歌恋の様子を見にきて、今までに誰かに向けた事は無いのでは無いかというくらい優しい眼差しで見つめ、歌恋の額に手を起き「早く目を覚まして俺にしょうせつの続きを読め」などと遠回りながらも心配する様子が伺えた。