第4章 動き始めた気持ち、揺れる恋心~
信長達が先に出発し、見送った三成と政宗。
政宗は気付いた。
“あの信長様が歌恋に思いを馳せている”と。
思いを馳せていると言う言葉では足りない位大事に思ってると。
安土城の武将を惹き付ける歌恋の魅力に政宗も例外なく惹かれていた。
時々からかい半分で口説こうとするも当の本人はそんなつもりはなし。
「ふん。俺の負けか…」
俯きながら笑をうかべた政宗。
「政宗様が負けたとは誰にですか?」
相変わらず人の気持ちに鈍い三成が声を掛けてくる。
「いや、独り言だ。お前も歌恋の事が心配なんだろ。出来るだけ早めに戻るぞ。」
「はい。そうですね。日暮れの頃までにつかなければなりませんしね。」
内心2人とも心穏やかでは無いが、主君である信長にあとを託された身。武将としては引き連れた兵士達を城へ戻すまでが戦と考えそれが主君の考えでもあるため任務を最後まで遂行すると決めた。