第4章 動き始めた気持ち、揺れる恋心~
「政宗、三成後は頼んだぞ。」
そう言って信長は馬に乗って走り出す。
並走する家康が信長に声を掛けた。
「なんで信長様が真っ先に安土城に戻るんですか。」
三成には一緒に戻るとは言ったものの、何故我先に行こうとしたのだろうとふと疑問に思い信長にぶつけた。
「歌恋は俺に幸福をもたらす女だ。何があろうと俺よりも先に命を落とすことなど許さん。」
「戯言を言わずもっと飛ばせ。」
この時に見た信長の表情は至極真剣に嘘偽り無く、歌恋の事をこの人も自分が思ってるのと同じ位、いやそれ以上の気持ちを持っていると家康は気づいた。
(まさか、信長様までこんな表情を指せるようになるなんて…やっぱり歌恋は人を惹き付ける何かを持っているんだ。)
ふと息をつき薄ら笑をうかべた。