第4章 動き始めた気持ち、揺れる恋心~
(とにかく、無事でいてくれ…)
こんな時にこう思うのは場違いかもしれないが、その位秀吉には心配と不安とどうしていいかという戸惑いとで気持ちが入り組んでいた。
部屋に着くと女中達が歌恋を布団に寝かせ、着替えも済ませ終わった時だった。
それからしばらくして、家臣の1人が医師を連れてきた。
「秀吉様。医師を連れてきました。」
「あぁ。ありがとう。こちらになります。」
秀吉は険しい表情で歌恋の所へ案内した。
歌恋は女。妹のように可愛いがってはいるが、さすがに診察の時に肌を見せることもあるかもしれないと思い、女中頭と医師で中にのこり、自分は廊下で待つことにした。
(まだ終わらないのか。まさか、あの医師歌恋に変な事をしてないだろうな…。そうなったら牢に入れるまでだが…。)
(って何変な事を考えているんだ、俺は…。)
どうしていいか分からず、部屋の前をウロウロして落ち着きなく待っていること四半時。
女中頭が呼びにきた。
『歌恋はどうなんだ?』
医師の顔を見てまず出たのはこの言葉だった。