第4章 動き始めた気持ち、揺れる恋心~
秀吉が女中におむすびを作ってもらい、歌恋の所に持っていこうと思った矢先に廊下から女中達が血相を変えて向かってきた。
ただならぬ雰囲気を感じた秀吉は女中にこえを掛ける。
「どうした?何かあったのか!」
「はぁ、はぁ、、秀吉様!大変、大変でございます!」
息を切らして中々本題に入れない。
「…様が、、、歌恋がお部屋で倒れていたんです!」
「なんだって?」
秀吉の表情がみるみる険しくなり、女中を、問い詰めるような体勢で質問する。
「歌恋は、歌恋はどうして倒れているんだ!」
「今どこにいる!」
秀吉が間髪いれずに話をするので、女中が驚いたのと同時に説明する機を掴めず戸惑っていた。
「今はお部屋にいます…、」
(家康はまだ着かない…。薬師か医師を城下まで呼びに行かないとダメか。)
「とにかく、城下に行き、医師を呼んでこい。」
(くそ、お舘様が不在の間を預かる役を仰せ使っていて歌恋の体調不良にも気づかないなんて。)
秀吉はとにかく歌恋の事が心配で部屋にむかった。
(とにかく無事でいてくれ。)