第1章 久しぶりの京都とワームホールの出現。
次の日、仕事で本能寺跡の近くのカフェで、先輩のデザイナーが打ち合わせがあり、歌恋も同席していた。
「お疲れ様~休みなのに付き合わせてごめんね!じゃまた来週ねー。」
「はい。お疲れ様でした!」
先輩デザイナーは京都駅近くのホテルに泊まるためカフェを出たあと別れた。
(そう言えば、昨日のあの人どうしたかなー。今日もいたらちょっとウケるんだけど(笑))
歩くこと数分後―
「えっ?ウソ!?何で!?」
昨日見かけたあの男性は今日もいた。
さすがに驚いた歌恋は思わず声に出してしまった。
「あのー、昨日もここにいましたよね?」
何故かわからないがその男性に声を掛けて見た。
「えっ?」
もちろん声を掛けられたその男性は驚いた顔で歌恋を見た。
「私も昨日ここに来ていたのであなたを見かけたんです…」
昨日ここにきて何か思い詰めるような眼差しで見ていたこと、今日もここにいることを不思議に思い声を掛けたと話をした。
「私、姫宮 歌恋っていいます。ここら20分くらい歩いた呉服屋の孫娘で、今は家を出て横浜で仕事しています。」
「まとまった休みが貰えたから、久しぶりに京都に帰ってきたんです。」
「俺は猿飛佐助といいます。京都の大学院に通ってる。」
京都の大学院に通ってるその佐助という男性は歳も近く、とある研究のため、本能寺跡を中心にまわっていると教えてくれた。
簡単な自己紹介をし、またどこかで会えればなんて話をしながら別れた。
本能寺の変まであと3日―
佐助は歌恋が去った後から僅かに感じ始めたワームホールの力を察知し、歌恋にも何か力のようなものをもっているのでは無いかとにわかに思いはじめた・・・