第4章 動き始めた気持ち、揺れる恋心~
ここ数日の安土はかなりの暑さで、クーラーに慣れてしまった現代人(未来人か?)の歌恋には堪えていた。
(この時期苦手なんだよね…。)
(あぁー暑い。。。)
お水も飲みたいけど、身体がだるくて動かない…。
元々夏になると一気に食欲が落ちて、素麺やうどんなどのどごしのいいものや、果物などしか食べられなくなってしまう。
夏に入ってから珍しくご飯やしっかりと食事も取っていたが、何せこの3日間は尋常じゃない暑さ…。
まだ城は高い位置にあるから風は抜けるけど…。
「秀吉さんにいって何か食べやすいもの貰おうかな…」
意を決して動こうとしたが、立ち上がった際に眼の前の視界が霞んでそのまま倒れ込んだ。
バタっ。
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その頃秀吉は斥候からもうすぐ信長達が帰ってくると報せをうけ、歌恋に知らせに行こうと部屋へ向かっていた。
朝餉の時に『今日はお針子の仕事あるのか?』と尋ねたら、
『今日は無いよ。新しい刺繍の案も考えたいし、暑いから部屋にいると思う。』と言っていたのを思い出した。
ただ、心做しか顔色が優れないのと、朝餉の時に家臣に呼ばれて最後まで一緒にいられなかったことなどが引っかかり、様子を見る“ついでに”と言い聞かせて部屋に行こうとした。
(もうこんな時間か…三成に似て何かに夢中になるとあいつも寝食忘れたりするからな…おむすびでも持っていくか…。)
そんな事を思いながら女中におむすびを作るように言いに行こうと向かっていると…